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April 2, 2019

ユベール・スダーン指揮オーケストラ・アンサンブル金沢

●28日はサントリーホールでユベール・スダーン指揮オーケストラ・アンサンブル金沢。モーツァルトの「皇帝ティートの慈悲」序曲とピアノ協奏曲第9番「ジュノム」(リーズ・ドゥ・ラ・サール)、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」というウィーン古典派プログラム。東響の音楽監督時代にたくさん古典派プログラムを聴かせてくれたスダーンだけど、現在はOEKの首席客演指揮者を務めていて、このコンビを聴くのは2回目。最初の「皇帝ティートの慈悲」序曲がいちばんピリオド・スタイルを感じさせる演奏だった。バロック・ティンパニ使用。モーツァルトは久々に聴くドゥ・ラ・サール。意欲的なソロだが、もう少し控えめな残響で間近で聴きたいモーツァルト。アンコールにドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」。ベートーヴェンは弦楽器たぶん8型、コントラバス3。室内オーケストラにとってサントリーホールは広大な空間だが、サイズよりも機敏さ、小気味よさを重んじるあたりがこのアンサンブルの矜持。それでいて音楽の骨格は重厚で、OEKとスダーンの間の化学反応は良好。集中度の高い緊迫した音のドラマが生まれていた。冴え冴えとしたフルートのソロ。終楽章でクラリネット2本に思い切りベルアップさせていたのは効果的。スポンサー筋が多めの客席だが、客席の反応も上々では。
●OEK、最初は岩城宏之さんのオーケストラ、次は井上道義さんのオーケストラだったけど、今はマルク・ミンコフスキが芸術監督で、スダーンが首席客演指揮者、川瀬賢太郎が常任客演指揮者、田中祐子が指揮者と、いろんな人で役割分担している感。媒体側は首席客演指揮者と常任客演指揮者を混同しないように注意しなくては。

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