July 29, 2019

フェスタサマーミューザ2019 ~ ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団のオープニングコンサート

●今年もいよいよフェスタサマーミューザ2019が開幕。ミューザ川崎に首都圏のオーケストラが次々と登場する。開幕公演はホスト・オーケストラの東京交響楽団で、指揮は音楽監督ジョナサン・ノット。なんと、バリー・グレイの「ザ・ベスト・オブ・サンダーバード」、リゲティのピアノ協奏曲(タマラ・ステファノヴィッチ)、ベートーヴェンの交響曲第1番というプログラム。幅広い層の聴衆が足を運ぶ夏の音楽祭としてはかなり大胆なプログラムだが、客席は盛況。まさか「サンダーバード」とリゲティが結びつくとは!
●が、これは伏線があったと思う。前回聴いた定期演奏会が、リゲティのレクイエムを中心とした映画「2001年宇宙の旅」に対する密かなオマージュになっていたことを考えれば、これに「サンダーバード」が続いたって不思議はない。「2001年宇宙の旅」と「サンダーバード」は、それぞれ60年代イギリスを代表する特撮映画と特撮テレビ番組なのだから。ノットは少年時代に「サンダーバード」に夢中になっていたそうで、自らの選曲によるスペシャル・セレクション。ノリノリの指揮で本当に楽しそう。「サンダーバード」は日本のワタシたちの世代にとっても懐かしい。テレビもさることながら、特におもちゃが。赤い3号が好きだった……。オーボエが入らない編成なので(サックスが入る)、クラリネットのチューニングでスタート。おなじみ、ファイブー、フォー、スリー、ツー、ワンのカウントダウンが熱い。フルオーケストラの演奏で聴く「サンダーバード」はひたすらゴージャス。リゲティのピアノ協奏曲ではタマラ・ステファノヴィッチがソロを務めた。譜めくりあり、譜面台に紙束がごそっと置かれる感じ。曲はくらくらと眩暈がするような複雑度で、同時に複数の人が一斉に早口言葉をしゃべりだすかのよう。痛快な錯綜。小編成の管弦楽のなかで、ひとり打楽器奏者はおびただしい数の楽器とともに一角を陣取って、猛烈に忙しそうに多種多様な楽器を操る。もうひとりの主役。
●休憩後はベートーヴェンの交響曲第1番。毎回、このコンビのベートーヴェンは鮮烈。語り口が豊か。第2楽章は少しオペラ風というか、シェーナとアリア調というか。終楽章の序奏はいかにも芝居がかった感じで語りかけるような「前口上」で、どこか即興風。決して作品規模を超えるような大きな音楽ではなかったが、スリリングなベートーヴェン。客席は大喝采。笑顔を見せるノット。ゆっくり両足を順に踏み鳴らすようなポーズは、もしかしてサンダーバードの人形のマネなのか。こんなに指揮者が楽しそうな公演もめったにないが、客席も負けずと楽しんでいた。拍手が止まず、ノットのソロ・カーテンコールに。客席に若者多数。

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