August 5, 2019

N響ほっとコンサート 世界ぐるっと名曲の旅

●4日はNHKホールで毎夏恒例の「N響ほっとコンサート」。会場には大勢の家族連れがつめかけて、全席完売。原田慶太楼指揮NHK交響楽団、ソリストに反田恭平。ナビゲーターはNHKアナウンサーの林田理沙さん。ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲から「スイス軍の行進」ではじまって、ブラームスのハンガリー舞曲第5番、ビゼーの「アルルの女」のメヌエット、ボロディンの「ダッタン人の踊り」、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」(反田恭平)など、有名曲がずらり。最後はヒナステラの「エスタンシア」から「マランボ」で大盛り上がり。
●指揮の原田慶太楼がすばらしい。こういったファミリーコンサートに求められる要素をすべて満たしてくれた。なんどか指揮台を降りて、客席に向かって手拍子を求めたりするのだが、客席とのコミュニケーション能力が抜群に高い。前半のおしまいには即席指揮講座も。あらかじめ来場者全員に配布されていたケミカルライトをみんなで振って、オーケストラの演奏に合わせて指揮マネをするという趣向。これは客席の子供たちのテンションを高めるのに大変効果的。「マランボ」では、客席に足踏みや手拍子を求め、さらには途中からN響メンバーを立奏させて盛り上げる(立ち上がるN響!)。しかも、演奏のクォリティが高い。明るく華やかで、くっきりしたサウンドを引き出し、リズムも歯切れ良い。私見では、子供たちは作品が保守的だろうが革新的だろうが気にしないが、曲が長いとすぐに飽きる。なので、「ダッタン人の踊り」や「ラプソディ・イン・ブルー」は大丈夫かな~と案じていたのだが、客席はしっかりと集中を保っていた。これはまちがいなく演奏の力。アンコールに外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」から「八木節」。
●開演前と終演後は、NHKホール内の各所に楽器体験コーナーが設けられ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、フルート、ホルン、ハープ、ティンパニ等々、オーケストラのさまざまな楽器に触れる機会が提供された。どの楽器にも長蛇の列ができていて大人気。大人も子供も楽しんでいた。
●この公演、プログラムノートに曲目解説を書かせてもらったのだが、小学生向けの文体を心がけてみた。「です・ます」調ではない、「~だよ」「~だね」の語りかけ文体。少し難しい点があるのだが、コツをつかめた気がする。

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