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August 23, 2019

ICC オープン・スペース2019「別の見方で」/キッズ・プログラム2019「スポーツ研究所」

●東京オペラシティの上階にあるNTTインターコミュニケーション・センター (ICC)へ。ここは先端テクノロジーを活用したさまざまなメディアアートが展示されている憩いの場。以下、入場無料の展示をふたつ。
ノンフェイシャル・ポートレイト
●まずは長期展示であるオープン・スペース2019「別の見方で」。特におもしろかったのは、上記写真の「ノンフェイシャル・ポートレイト」(シンスンベク・キムヨンフン)。それぞれ異なる画家が描いた肖像画らしきものと制作過程を記録した映像がいっしょに展示されている。これは「肖像画がAIに顔認識されたらアウト」というルールで描いたもの。つまり、人間には顔に見えるけど、AIには顔に見えないという狭い領域を探りながら描かれた肖像画なんである。
●その他印象的だったのは、以前Bunkamuraの「オテロ」の映像演出で物議をかもした真鍋大度らによる立体映像技術を用いた作品「Light Field Theater」、3種類のCPUと対戦できる三目並べを9台のディスプレイに展開したJODIによる「OXO」など。「OXO」はフツーに三目並べとして遊べるのだが、累積対戦成績が表示されているのがミソ。人間はけっこう負ける、ぼんやりするがゆえに。
手のひらで感じるテニス
●もうひとつの展示は毎夏恒例のキッズ・プログラムで、今年は「見る、楽しむ、考える スポーツ研究所」というテーマ。写真は「手のひらで感じるテニス」(伊藤亜紗、林阿希子、渡邊淳司)。テニスコート型の台に両手を置いて、小型モニタに映されたテニスの試合を見る。すると、打球のインパクトなどが手のひらに振動として伝わってくる。
●スポーツを題材にした割には、全体に小ぢんまりしているというか、ダイナミズムの稀薄な作品が多かったような気がするのだが、そのなかで「Sequences/Consequences」(中路景暁)にはフィジカルな快感が映像から間接的に伝わってきた。ベルトコンベアの上に置いたカップやドミノを落としたり受け止めたりするだけのパフォーマンスなのだが、原初的なスポーツはそういうものだったんだろうなと思わせる。