August 28, 2019

オペラ夏の祭典「トゥーランドット」補遺

●もう一か月以上も経って今さらなんだけど、オペラ夏の祭典「トゥーランドット」補遺として、ネタバレ部分を書いておこう。書いておかないと忘れそうなので。
●賛否両論だったアレックス・オリエ演出によるダークサイド「トゥーランドット」だったが、いちばん大胆だったのは結末部分。「この話がハッピーエンドで終わるはずがない」という演出家の言葉通り、最後の最後になって、トゥーランドットは自刃する。つまり、リューと同じ運命をたどる。
●トゥーランドットとリューが相似形をなすというアイディアには説得力がある。というのも、(たびたび書いているけど)リューは「オペラ三大イヤな女のひとり」。自己犠牲を建前にして「勝手に死ぬなよ!」といつも思う。こちらはまったく相手にしていないのに一途な愛を捧げて死ぬという点で、本質的に暴力性を備えた役柄。リューとトゥーランドットはコインの裏表みたいなところがあって、権力の頂点と底辺にあって、それぞれの形で他者を寄せ付けずに(リューの愛は自己完結している)、暴力性を実現する双子の姉妹みたいなもの。だから、トゥーランドットがリューと同じ結末を迎えるのは理にかなっている……はずなんだけど、実際の上演では唐突な感も。ハッピーエンドの音楽との齟齬をどうとらえればいいのか。もともとこの部分の音楽はプッチーニではなく、アルファーノの補筆だというのも、もやもやした思いにつながっている。

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