October 29, 2019

東京・春・音楽祭2020 概要発表会

東京・春・音楽祭2020 概要発表会
●28日は東京文化会館の大会議室で「東京・春・音楽祭2020 概要発表会」。次回の「東京・春・音楽祭2020」のラインナップが発表された。開催期間は2020年3月13日から4月18日まで。きちんとした会見レポートは、「ぶらあぼ」WEBおよび本誌に書くので、ここでは個人的に興味をひかれた点とこぼれ話をメモ書き程度で。
●まず、今回もリッカルド・ムーティがやってきて、「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」を開催する。で、ムーティ指揮の「マクベス」演奏会形式で開幕。昨年同様、ムーティのレクチャーもあり。また「マクベス」本公演(合唱も入って全曲演奏)とは別に、指揮受講生たちによるアカデミー特別講演も。こちらは抜粋で。
●それと新シリーズとして読響による「東京春祭プッチーニ・シリーズ」が始まる。第1回は「三部作」(外套、修道女アンジェリカ、ジャンニ・スキッキ)。指揮はスペランツァ・スカップッチ。読響のイタリア・オペラ、しかもプッチーニというのはかなり珍しい。指揮のスカップッチはこれまで読響側でもなんどか出演を打診しながらも実現に至らなかったそうで、今回音楽祭で共演できる、しかも普段は演奏しないレパートリーに挑戦できるとあって、とてもよい巡り合わせとなった模様。もともと「東京春祭」といえばワーグナー・シリーズという柱があったので、ドイツ色が強い印象だったが、ムーティのヴェルディ、読響のプッチーニが始まって、ぐっとイタリア色が強くなってきた。その意図を尋ねたところ、「むしろ今までなぜイタリア・オペラをやってこなかったのかと思うほど。本当はホールがあればバロック・オペラもやりたいくらい。できる限りのなかで、レパートリーを広げていきたいと思っている」(鈴木幸一実行委員長)
●で、目玉のワーグナー・シリーズはマレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団で「トリスタンとイゾルデ」。歌手陣はアンドレアス・シャーガー、ペトラ・ラング他。毎年一作ずつワーグナーのオペラを演奏会形式で上演する同音楽祭だけど、これでワーグナーの主要作品を一巡することになる。その先の話は出なかったけど、きっと二巡目が続くのでは。
●「合唱の芸術シリーズ」はベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」。これはベートーヴェン・イヤーを考えれば納得の選曲。ヤノフスキが都響を指揮するのが新鮮。あと、どんなものなのか、ぜんぜんわからないんだけど、ステファン・ウィンターという人の脚本・監督で「The Ninth Wave - Ode to Nature 目で聴き、耳で視るベートーヴェン」という企画が小ホールである。音楽、ノイズ・アート、パフォーマンス、映像を多角的に組み合わせたサウンドアート作品なんだとか。その他、マラソン・コンサート「ベートーヴェンとウィーン」など、ベートーヴェン企画も多数。
●あと、恒例のブリテン・シリーズで、ブリテンがアマチュア向けに書いたオペラ「ノアの洪水」演奏会形式が東京芸大奏楽堂で上演される。音楽祭側としては「おそらく日本初演だと思う」けど、確証が得らえずそうは謳っていない。教会向け作品だけに、どこかでなにかの形でやっていたとしても不思議はないわけで、こういうものは「ある」ことは証明できても「ない」ことを証明するのは難しい。
●なお、東京・春・音楽祭特別公演として2020年6月に開催されるドゥダメル指揮ベルリン・フィルの公演については、11月下旬に改めて記者発表が行われるそう。こちらは東京・春・音楽祭実行委員会が主催、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が共催となっている。

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