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December 9, 2019

祝! マリノス、15年ぶり4度目のJリーグ優勝


●こんな展開をだれが予想していたのか。J1最終節はマリノスvsFC東京で、1位対2位の優勝を決める直接対決になった。もっとも、前節に東京が浦和と引き分けたことから、マリノスは「4点差以上で負けなければ優勝」という有利な状況。まあ、以前に4点差で負けたこともある相手なので、油断はできない。早い時間帯で失点を重ねれば勢いで押されるということだってありうる。なにしろマリノスは得点も失点も多いチームなので……と、思っていたが、前半26分、ティーラトンのミドルシュートがスライディングしてきた東慶悟に当たってコースを変え、これがきれいにキーパーの頭を超えてゴールへ。その後、エリキ、後半に遠藤渓太(見事な個人技)が追加点を奪って、3対0。祝祭的な雰囲気の中、ホームで優勝を決めた。
●DAZNではその後のセレモニーも延々と中継してくれて、これが泣ける場面続出。シャーレを掲げて喜びを分かち合う選手やコーチ、スタッフたち。そして、選手たちは途中でチームを去ったかつての仲間のシャツを着て、彼らに成り代わって優勝を祝う。キーパーの飯倉大樹やベルギーに行った三好康児、等々。極めつきは松田直樹の3番だ。天に向けての優勝報告。それから大ベテランとなった栗原勇蔵の長い長い引退セレモニー。功労者の栗原に花道を用意することができて本当によかった。ザッケローニ元日本代表監督らがビデオメッセージを寄せてくれた。
●リーグ戦の間、ずっとてっぺんに東京がいて、マリノスは3位くらいで追いかけていたのが、最終盤になってはじめて1位に躍り出て、そのままゴールを切った。なので、優勝争いを実感したのは本当に最後のほうになってから。終わってみれば1位マリノスが勝点70、2位東京が64。勝点6も引き離しているのに驚く。22勝8敗4分。得点68、失点38。失点の多いチームだったが、終盤ではずいぶん守備が落ち着いてきたのがよかった。
●昨季、残留争いまでしたマリノスが、同じポステコグルー監督、同じ戦術でなぜ優勝できたのか。きっと「この超攻撃的な戦術が浸透したから」というまとめられ方になると思うが、自分にはそんな実感はない。最大の勝因は、選手層の厚みかなと思っている。なにしろ途中まで11ゴールをあげていた絶対的エース・ストライカー、エジガル・ジュニオがケガで離脱したというのに、その後にエリキやマテウスら、次々と優秀な選手を獲得できたのが大きかった。リーグMVPに輝いた仲川輝人と、マルコス・ジュニオールのふたりが15ゴールで並んで得点王。急成長を遂げた仲川のMVPは文句なしだが、このチームで決定的な存在はセンターバックのチアゴ・マルチンスだったとも感じる。ずっと上のレベルでやれる選手がなぜかここにいるというか。遠藤渓太のようにベンチに置かれた選手もクォリティが高かった。両サイドバックのポジション争いも熾烈。これだけの層の厚みはかつてなかった。