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February 3, 2020

ラファエル・パヤーレ指揮NHK交響楽団のショスタコーヴィチ

●31日はNHKホールでラファエル・パヤーレ指揮NHK交響楽団。オール・ショスタコーヴィチ・プロで、前半にバレエ音楽第1番とチェロ協奏曲第2番(アリサ・ワイラースタイン)、後半に交響曲第5番。コンサートマスターはライナー・キュッヒル。
●パヤーレはベネズエラのエル・システマ育ちの新鋭。ドゥダメルのアシスタントも務めている。といっても1980年生まれなので、今年40歳。昨今の指揮者事情だとそれほど若いとも言えないか。前半の2曲はショスタコーヴィチのもっとも通俗的な面ともっとも内省的な面を対照させたような曲目。チェロ協奏曲第2番では夫婦共演。
●パヤーレのキャラクターがはっきり出たのは後半。切れ味鋭く瞬発力のあるショスタコーヴィチで、メリハリを思い切り付ける。ダイナミックで、もったいぶったところがなく、グイグイと前に進むのが吉。個人の芸術的良心と体制の抑圧の狭間から絞り出された二重言語といったショスタコーヴィチ理解が、遠く前世紀に霞んでいくかのような爽快さ。第3楽章ラルゴが大仰にならないのに好感。