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September 9, 2020

尾高忠明指揮読響のオネゲル、小曽根真とのモーツァルト

●8日はサントリーホールで尾高忠明指揮読響の定期演奏会。プログラムはグレース・ウィリアムズの「海のスケッチ」、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番(小曽根真)、ペルトの「フェスティーナ・レンテ」、オネゲルの交響曲第2番。弦楽合奏+αで演奏できる小編成の曲だけを集めて奏者間距離を広めにとりながらも、これだけ多彩なプログラムが組めたのがすばらしい。休憩ありのフルサイズのプログラム。舞台上はマスクなし。客席は現在の標準的なスタイルで、一席空け、マスクあり、手指消毒あり。チケットの半券はもぎらず、プログラムは自分で取る方式。退場時は時差退場。
●グレース・ウィリアムズ「海のスケッチ」は描写性の強い海の音楽ながら、平穏なだけではなく、ドビュッシー的な「海」よりはブリテン「ピーター・グライムズ」的な海を想起させる。ウェールズの女性作曲家。モーツァルトは小曽根真ワールド全開。超名曲を初めて聴くような新鮮な気持ちで接することができるという僥倖。この曲、第1楽章のカデンツァにはモーツァルト自身のものが残っているわけだが、期待通り小曽根さんは自作を披露。楽しすぎる。終楽章にはカデンツァがないが、代わりに自由度を増してキャンバスからはみ出すような勢いのあるフィナーレに。アンコールはコントラバス首席の大槻健さんを伴って「A列車で行こう」。ペルト、オネゲルでは緊密な弦楽器のアンサンブル。全般にヴィオラの活躍度高し。オネゲルではペシミスティックな空気を最後に朗々としたトランペットが振り払うというストーリーが描かれ、現今のウイルス禍に思いを馳せずにはいられない。
●この日の報道によれば、政府は大規模イベントの人数制限について、4連休が始まる19日にも緩和するよう検討に入ったという。Jリーグやプロ野球の収容人数の緩和と並んで、「クラシックコンサートなど観客が声を出さないイベントでは、最大で収容率100%までの緩和も検討する」(毎日新聞)、「クラシックコンサートや能など観客が声を出さないイベントについては収容人数を70%や80%まで緩和することを検討」(TBS News)などと報じられている。