September 14, 2020

読響鈴木優人指揮読響のベートーヴェン

東京芸術劇場
●12日午後は東京芸術劇場で鈴木優人指揮読響。ベートーヴェン・プログラムでヴァイオリン協奏曲(郷古廉)と交響曲第6番「田園」。休憩あり。一席空け、入場時のマスク着用、体温チェック、手指消毒などは今のコンサートの標準仕様。舞台上の配置は散開配置で、特に管楽器は奏者間距離を大きくとる。この配置だとやはり響きがまとまりにくい傾向があるものの、一方で分離のよい響きとも言えるわけで、奏者側が経験を積んだゆえか、こちら側が慣れてしまったせいか、もはや違和感はない。弦楽器は対向配置でコントラバスが下手側。
●郷古廉の独奏によるヴァイオリン協奏曲はけれんのない真摯なベートーヴェン。音に芯があって、しかもよく鳴る。第1楽章のカデンツァは珍しいブゾーニ作。ふだん聴けないカデンツァは歓迎。アンコールにバッハ。後半の「田園」は清新。キレがよく躍動感にあふれている。モダンかピリオドかという二者択一の向こうにある今のベートーヴェン。第2楽章の後、袖からトロンボーン、ティンパニ、ピッコロ奏者らが入場。舞台上の密を避けるためなのかもしれないが、後半楽章でのオーケストレーションの拡大を視覚的に明示するという意味で効果的。「嵐」のティンパニはモダン楽器による痛烈な強打。これくらいのインパクトがないと、自然に対する人間の卑小さ、畏れの感情は伝わらないということか。読響の演奏力の高さ、指揮者とオーケストラの一体感を感じた公演。
●終演後はこれもお決まりの時差退場。そうはいっても池袋駅からはずっと人込みだし、電車もそこそこ混んでいるのだが。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の会合で、9月19日以降はイベント開催制限を緩めるとして、クラシックのコンサートや演劇、映画館、美術館など参加者が声を発しないタイプのものは100%の収容率が容認されることになった(asahi.com)。

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