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September 29, 2020

ロト指揮レ・シエクルの新譜、ベートーヴェン&ゴセック

●ロト指揮レ・シエクルの新譜、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」&ゴセック「17声の交響曲」を聴く。これがおもしろい。もちろん「運命」は抜群の聴きごたえだが、ゴセックの交響曲が楽しい。1808年の「運命」に対して、ゴセックの交響曲は1809年の作曲。完全に同時代の作品。フランスで活躍した作曲家ながら、ウィーン古典派のスタイルで書いていて、ベートーヴェンにも接近している。第3楽章のメヌエットはモーツァルトの第40番を連想させるが、続くトリオの部分にはベートーヴェンに通じる笑いのセンスがあると思う。あと、かなりのところでシューベルトを予告しているという印象。
●ベートーヴェンと共通するのは、カッコよさとダサさの共存。ただし、カッコよさとダサさの天秤でベートーヴェンは前者に傾くけど、ゴセックは後者に傾いていて、終楽章の元気いっぱいのエンディングで少し笑いが残る。そこがチャーミング。もし彼らと同時代に生きていて、両者を一度聴いただけで、片方は何百年後も全世界で演奏され片方はほとんど演奏されないなどと予測できるかといえば、できないと思う。