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December 24, 2020

低音デュオ第12回演奏会

●23日昼はトーキョーコンサーツ・ラボで低音デュオ第12回演奏会。松平敬(バリトン、声)と橋本晋哉(チューバ、セルパン)によるデュオ。4月に予定されていた公演がこの日に延期になり、昼夜2公演で開催された。間隔をとって椅子が配置され、客席数は少ない。手指消毒、体温チェック、連絡先記入あり。プログラムは新美桂子「砂漠の足踏みミシン」(2019、低音デュオ・ポップソングスNo.3)、稲森安太己「忽然と」(2018)、足立智美「超低音デュオ」(2017)、根本卓也「お前は俺を殺した」(2019) 委嘱初演、休憩をはさんで松平頼曉「ローテーションIII」(2020) 委嘱初演、中川俊郎「3つのデュオローグ、7つのモノローグ、31の断片」(2012)、伊左治直「羊腸小径」 (2020、低音デュオ・ポップソングスNo.4) 委嘱初演。
●最初は異色のデュオと思ったバリトンとチューバの組合せが、今やこれしかないという自然なデュオに聞こえる不思議。多種多様な曲が並んでいたが、圧倒的に強いインパクトを残したのが根本卓也「お前は俺を殺した」。詩は佐々木治己によるもので、「お前は俺を殺した」といった内容の言葉が延々と敷衍され、意味のわかるようなわからないような状況説明が付加されてゆく。非常に強迫的でじりじりと追い詰められていくような気分になる。詩ははっきりと聴き取れるのだが、すぐに意味を追えなくなり、やがて「殺す」「殺される」といった単語がゲシュタルト崩壊して、言葉から音に変容する。それがかえって怖い。
●アンコールなしで約1時間50分ほど。帰り道、通りかかった穴八幡宮のあたりがすこぶる賑わっている。気になって後で調べてみたら、冬至祭で一陽来復なる御守りが配布されていたのだとか。金運上昇のお守りらしい。疫病退散ではなく。