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February 25, 2021

松木さや 東京オペラシティ B→C バッハからコンテンポラリーへ 220

●24日は東京オペラシティのリサイタルホールでB→C、フルートの松木さや。2015年の入団以来、オーケストラ・アンサンブル金沢での演奏はたびたび耳にしてきたが、こういった形でソロを聴くのは初めて。昨年3月に予定されていた公演がウイルス禍で延期になって、ようやく実現。
●B→C(バッハからコンテンポラリーへ)なのでバッハも一曲入るが、全体としては無伴奏を中心としたフランス音楽プログラム。前半はドビュッシー「シランクス」、マレ「スペインのフォリア」、ドヴィエンヌのフルートとヴィオラのための協奏的二重奏ハ短調、オネゲル「牝山羊の踊り」、イベール「小品」、ヴァレーズ「密度21.5」、後半はミュライユ「答えのない問い」(1995)、デュフール「棍棒での決闘」(2008)、バッハの無伴奏フルート・パルティータ イ短調、ドビュッシーのフルート、ヴィオラとハープのためのソナタ。ヴィオラに對馬佳祐、ハープに高野麗音。「シランクス」ではじまり「密度21.5」で終わる背筋の伸びるような前半もよかったが、さらに楽しかったのはモダン成分多めの後半。ミュライユの「答えのない問い」は故人となった若い教え子を偲ぶ音楽ということなのだが、原題もUnanswered Questionsで英語だし、アイヴズの「答えのない問い」を連想せずにはいられない。白眉はデュフールの「棍棒での決闘」。楽器を鳴らし切った渾身の一撃、疾走するようなスピード感、急激なダイナミクスの変化など、アスリート的爽快感もありながら、ユーモアも漂う。無伴奏曲が続いた後に聴くドビュッシーはぜいたくなデザートのよう。アンサンブルの愉悦。時節柄、奏者あいさつもアンコールもなく、21時頃に終演。
●一応、東京は現在緊急事態宣言中なのだが、街に緊張感ははなはだ希薄。20時以降の外出自粛という話もあったが、21時過ぎでも人出はそこそこ。新規陽性者数は1月上旬のピークから見れば5分の1以下に減っているのだが、実はそれでも夏のピークとほぼ同程度。ほとんど下げ止まってしまったようにも見える。ここからさらに強い措置を打ち出すのか、それとも現状のまま進んでどこかでいったん宣言を解除するのか?