March 5, 2021

山田和樹指揮読響のウェーベルン、別宮、グラズノフ

●4日はサントリーホールで山田和樹指揮読響。前半にウェーベルンのパッサカリア、別宮貞雄のヴィオラ協奏曲(鈴木康浩)、後半にグラズノフの交響曲第5番という、めったに聴けない曲ばかりのプログラム。最初のウェーベルンから熱風が吹くような演奏。爛熟したロマンの香り、漂う世紀末ブラームス感。別宮貞雄のヴィオラ協奏曲では読響ソロ・ヴィオラ奏者の鈴木康浩が圧巻のソロ。深く艶やかな音色で、切れ味鋭くパワフル。この日の主役だった。バルトークやショスタコーヴィチを連想させる作品だが1971年作曲で、思いのほか新しい。パラレルワールド日本への発見の旅。
●後半、グラズノフの交響曲第5番も熱演。終楽章の盛りあがりは大変なもの。ブラスセクションの重厚な響きも堪能。番号は「第5」だけど、全体の曲想としては大らかな自然賛歌風で、とりわけ第3楽章アンダンテが詩情豊か。第4楽章の力ずくのクライマックスは、大胆さと気恥ずかしさでチャイコフスキーの「第5」に負けてない。客席は半分ほどの入りだが、拍手はかなり熱かった。
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●一応、現在の東京は緊急事態宣言中で、しかもさらに延長して今月21日まで続けることになりそうだが、もう街に緊張感はすっかりなくなっている。上記のように新規陽性者数も下げ止まってしまい、7日移動平均で見ると日によっては増えている。2週間のタイムラグがあるので、現在は増加に転じていたとしても驚かない。もっと強力な「スーパー緊急事態宣言」とか「ウルトラ緊急事態宣言」を出して減らすのか、あるいはいったん解除してしばらくしたら3度目の緊急事態宣言を発出することになるのか。どちらもうれしくないが、一般へのワクチン接種はまだ遠そう。

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