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May 11, 2021

Spotifyアプリでの再生回数

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●最近、Windows用Spotifyアプリのデザインが少し変更されて、トラックごとの再生回数が明示されるようになった。これまではメーターで大雑把な人気度がわかるだけで、再生回数を知るためにはマウスポインターを置いて一息待つ必要があったのが、今やどうやっても目に入る位置にバーンと表示されるように。そんなに見たい数字でもなかったんだけど、見えるとつい見ちゃうわけで、なんだか生々しい。
●で、この数字を見ると、かつての常識では判断できない人気度がうかがえる。つまり、メジャーレーベルのスターアーティストが有名曲を録音するとたくさん売れて、その逆だとあまり売れない……みたいな先入観を抱きがちだけど、そういうのは要注意だなと思った。たとえば、たまたま自分がお気に入りに入れていたアルバムなんだけど、ドイツハルモニアムンディ・レーベルの録音で、ボリス・ベゲルマンのヴァイオリンによるテレマンのヴァイオリン・ソナタ集がある。このアルバムでいちばん再生回数の多いトラック2は156万回も再生されている。スゴくないすか? これがドイツグラモフォンのネルソンス指揮ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲全集だと、いちばん多いトラックの「運命」第1楽章でも11万9千回。一桁少ない。ボリス・ベゲルマンのテレマンがネルソンス指揮ウィーン・フィルのベートーヴェンをぶっちぎる世界。
●もちろん、これはSpotifyに限った再生回数なので、Apple Musicとか他のサービスでは違った光景が広がっているのかもしれないし、レーベル側が特定トラックの再生回数が上がるようなプロモーションをしたのかもしれない。あるいは人気のプレイリストに収められたとか? いろんな背景があるのだろう。少しおもしろいなと思ったのはドゥダメル指揮ウィーン・フィルのムソルグスキー~ラヴェル「展覧会の絵」。このアルバムで「展覧会の絵」の各トラックは10万~30万回台程度の再生回数なんだけど、最後に入っているチャイコフスキー「白鳥の湖」ワルツは100万回を超える再生数で、このアルバムでは断トツ。ムソルグスキー・アルバムを制作したら、一番人気はオマケのチャイコフスキーだった、という形。こういう例は探せばいくらでもありそう。