July 1, 2021

采配の妙 EURO2020 ラウンド16 イングランドvsドイツ

イングランド●これは大一番。ウェンブリーを舞台にラウンド16でイングランドとドイツが激突。観客は4万5千人。イングランドにはホームの利がある。ドイツ国歌斉唱中もスタジアムからは盛大なブーイング(少しムッとする。その作曲者ハイドンをロンドンに呼んで大ウケしてたくせに!)。イギリスは入国時に自己隔離が求められるはずなので、ドイツ・サポーターたちは現地在住者なのだろうか。この対戦カードで思い出すのは、かつて名古屋グランパスでも活躍した元イングランド代表リネカーの名言。「フットボールとは11人と11人で1つのボールを追いかけ回して、最後にドイツが勝つスポーツ」(うろ覚え)。つまり、ドイツはいつでも勝つ。ときどき勝てないこともあるけど、あきれるほど勝つ。負けそうになっても勝つ。ドイツが勝つ場面は見飽きるほど見ているので、ドイツ人以外のサッカー・ファンにとって、わざわざドイツを応援する理由はない。とはいえ、イングランドを応援する理由も見当たらないのだが……。華麗なサッカーとはだいぶ遠いイメージの両者ではあるが、今回は決勝がウェンブリーだという理由のみでイングランドの勝利を願う。気温16℃は理想的。
●ドイツもイングランドも布陣は同じ3-4-3。イングランドはグループリーグの4バックから布陣を変更して、あえてドイツにミラーゲームを仕掛けてきたことになる。この形、自分にとってはなじみが薄くて、勘所がよくわからないのだが、中盤の4枚の両側がウィングバックということになるのかな。3トップがワイドに開くのではなく、ウィングバックの上下動によって攻守のバランスが変化する感じ。下がれば5バック調の守備ブロック。イングランドは主導権を握るというよりは、相手に自由を与えない戦い方で、膠着状態が続く。渋い展開だったが、イングランドは69分にグリーリッシュを投入したあたりから活性化し、75分に左サイドからのグラウンダーのクロスに中央のスターリングが詰めて先制ゴール、さらに86分にはショートカウンターからやはり左サイドからの低いクロスに中でケインが頭で合わせて2点目。イングランド 2-0 ドイツ。
●ドイツは平均身長186センチの大型チームで高さで優位に立てるはずなのだが、試合後のデータではイングランドが空中戦で59%の勝率、デュエルの勝率も55%で相手を凌駕した。堅い試合で始めて、終盤に勝負を賭けるというサウスゲート監督の狙い通りの試合展開だったのでは。ドイツは相手のミスからミュラーがキーパーとの一対一のチャンスを迎えたが、これを外したのが「らしくない」感じ。これでレーヴ監督は15年の長期政権に幕。輝かしい戦績を収めた名監督だが、ワールドカップ2018とEURO2020での失速が少し寂しい。まあ、監督は最後は失望されて去るのが常ではある。

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