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August 16, 2021

サラダ音楽祭 メインコンサート Noism&大野和士指揮東京都交響楽団、新国立合唱団

サラダ音楽祭 メインコンサート
●12日昼は東京芸術劇場へ。先日に続いて入口で手荷物検査あり。今回はサラダ音楽祭のメインコンサートで、大野和士指揮東京都交響楽団にNoism Company Niigata(演出・振付/金森穣)、ハープの吉野直子、ソプラノの小林厚子、新国立劇場合唱団が共演するというデラックス仕様の公演。プログラムは前半にジョン・アダムズの「ザ・チェアマン・ダンス」(ダンス付き)、カステルヌオーヴォ=テデスコのハープと室内管弦楽のための小協奏曲、マーラーの交響曲第5番より第4楽章アダージェット(ダンス付き)、後半にモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、プーランクのグローリア。
●自分はダンスの分野にはまったく疎くて初めてNoismを見たのだが、本当にすごい。人間の身体表現にこんなにも豊かな語彙があるのかと新鮮な感動を味わった。特に冒頭の「ザ・チェアマン・ダンス」の複数人によるダンス(用語がわからない)は、音楽に呼応して反復的でリズミカルで、オーケストラのシャープなサウンドと相まって鮮烈。マーラーのアダージェットは井関佐和子のソロによるダンス。ピアノより高さのある大きな台と椅子2脚が舞台中央に運ばれてきて、へー、この台に飛び乗ったり、上で踊ったりするのかなあ……とぼんやり思っていたら、いきなり台の中からダンサーが登場してびっくり。わ、人が入ってたんだ。たぶん、大切な人を失った悲しみ、喪失感のようなものが表現されていたと思うのだが、曲調から想像するよりもずっと動きが多く、雄弁。ふだん、オペラの合間のバレエシーンなんかにも感じることなんだけど、ダンサーの動きがあまりに滑らかで洗練されていて、とても同じ人類とは思えない。
●カステルヌオーヴォ=テデスコの協奏曲では、先日の東フィルでニーノ・ロータの協奏曲を弾いた吉野直子さんがソロ。これも暗譜。たまたま両曲を立て続けに聴いたから感じるけど、ニーノ・ロータとカステルヌオーヴォ=テデスコ、ハープ協奏曲について言えば、ニーノ・ロータのほうが新古典主義的で、カステルヌオーヴォ=テデスコのほうが映画音楽風だなと感じる。後半の合唱はオルガン席と左右バルコニーにディスタンスをとりながらの散開配置。結果的に空間的な広がりをたっぷりと感じられて吉。独唱はエモーショナル。プーランクは本当にカッコいい。
●サラダ音楽祭の公演であること、ダンスが入ることから、客席は子連れファミリーとかダンスファンが多いのかなと思っていたら、意外と普通のオーケストラの演奏会とそんなに変わらない感じ。でもこれはもっと客層が広がっていてもいい公演だと思った。ワタシが「Noismスゲー!」と圧倒されたのと同じように、ダンスファンの人も「都響スゲー!」って感じてほしい。長い曲がないのはファミリー向けの配慮だったのかな。