August 13, 2021

「Jリーグ新戦術レポート2020」(西部謙司著/サンエイムック)

●少し前に出た本だが、昨シーズンのJリーグを戦術視点で振り返る「Jリーグ新戦術レポート2020」を読んだ(西部謙司著/サンエイムック)。これは良書。前年のバージョンも読んだが、2020年シーズンがコロナ禍による特殊な一年だったこともあって、さらにおもしろく、ためになる。今シーズンを観るうえでも大いに役立つことはまちがいない。たとえ監督交代や選手の移籍などがあっても、チームには継続性があり、そこに至るまでの物語があるもの。相手がどんな戦い方を基本戦術としてきたかを事前に知っておくだけでも、試合観戦のおもしろさが増す。観戦ガイドとしての実用性が高い。
●で、この本には実は戦術の話以外にもおもしろいところがいくつもあって、ひとつは大学サッカーの話。昨年、川崎の三苫や旗手など、大卒ルーキーたちが大活躍した。かつては大卒の有望新人はJ1下位やJ2ではポジションを獲れても、それより上で安定して活躍するのは厳しいような印象を持っていた。が、今はぜんぜん事情が違う。その理由として、著者と筑波大蹴球部監督の対談で挙がっていたのは、ウイルス禍の影響で交代枠が増えたこと、それと昨季は降格がなかったこと。あと、大学のほうがプロ以上に戦術が整備されている面もあるといい、高橋秀人が「ゾーンディフェンスのやり方は大学のほうが洗練されているかも」と話していたというのがおもしろい。
●大学には組織としてマンパワーがあるという話も目からウロコ。Jリーグは社員20~30人の中小規模組織なのに対して、筑波大学蹴球部だと200人の部員がいる。そのなかには情報学類や社会工学の学生もいて人的資源は豊富なので、分析やマネジメント、トレーニングに活用できるという。このあたりは欧州にはない独自の文化だと感じる。

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