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October 13, 2021

ニッポン対オーストラリア@ワールドカップ2022カタール大会 アジア最終予選

ニッポン!●勝てなければ森保監督の解任は不可避という状況で臨んだホームのオーストラリア戦。試合開始前の時点で、オーストラリアとサウジアラビアがともに全勝で勝点9、ニッポンは1勝2敗で勝点3。たしかにこの状況では引分けでも厳しい。
●で、継続性を重んじる森保監督も、さすがに前の試合から布陣を変えてきた。大ミスを連発した柴崎をベンチに置き、代わって中盤に遠藤、守田英正、田中碧の3枚を並べた。遠藤がアンカー、守田と田中碧がインサイドハーフと見ていいと思うが、フォーメーションとしては4-2-3-1から4-3-3に変更した形。トップ下をなくして中盤でボールを狩れる選手を増やしたという印象。GK:権田-DF:酒井、冨安、吉田、長友(→中山雄太)-MF:遠藤、守田(→柴崎)、田中碧-伊東、南野(→浅野)-FW:大迫(→古橋)。
●で、個の力とか布陣とか戦術とか、試合にはいろんな要素があるけど、やっぱりサッカーってメンタルの勝負だなと実感。それだけ両者の実力が伯仲しているということでもあるんだけど、開始早々からニッポンは前の試合とは見違えるほど気迫があった。瀬戸際に追い詰められて、大迫も長友も目の色が違うというか、枯れたベテランみたいな様子は払拭されている。前半8分、早くもニッポンが先制。南野のペナルティエリアを横切るようなクロスを田中碧が受け、コースを狙った難度の高いシュートを落ち着いて決めて代表初ゴール。これで余裕が出た。
●ところが1点リードのまま後半に入り、時計が進むにつれて、動きが硬くなり、ボールを前に運ぶ積極性がなくなってくる。後半24分、守田のやや無謀なスライディングタックルがいったんはPKと判定され、その後VARでエリア外と確認されてフリーキックに変更される。ほっとしたのは一瞬で、これをフルスティッチが呆れるほど見事なキックでゴールに叩き込んで同点。その直後、ニッポンのショックは明らかで、がくんと運動量が落ち、走るべきところに走れず、ダイナミズムを欠いてしまう。窮地を救ったのは交代出場の浅野。自陣から放り込まれた縦パスに走り込み、神技トラップからファーサイドを狙ってシュート。これが相手ディフェンスをかすって微妙にコースが変わり、キーパーが弾いてポストにリフレクト、ちょうどそこに走り込んでいたベヒッチが押し込む形でオウンゴール。浅野の好プレイありきだが、最後は運の領域。そしてゴールが入ると選手たちの足が動き出すというのは代表から草サッカーまでに通じるサッカーの真実。終盤はオーストラリア恒例のロングボール攻勢が発動するが、ニッポンは落ち着いて対処、2対1で勝利した。最後は田中碧の足が攣っていたようだが、交代枠もなかったので、田中碧をトップに残してあとの選手で守るなど、選手たちの臨機応変の判断も効いていた。オーストラリアのロングボールはかつてほどは怖くなくなった感じ。むしろ、ダイナミックにつないで攻められるほうが怖い。
●これでニッポンはオーストラリアとの勝点差を3、縮めることができた。追う立場には変わりないが、チームの士気はずいぶん上がったことだろう。森保監督の解任論もいったんは収まるはず。この後、アウェイのベトナム戦、アウェイのオマーン戦と続く。一方、サウジアラビアは中国を3対2で破り、オマーンはベトナムに3対1で勝利。最終予選ではライバルたちが勝手に失速して救われるケースもよくあるが、そうそう都合よくは行かないようだ。追う展開が続く。