November 12, 2021

ベトナム対ニッポン@ワールドカップ2022カタール大会 アジア最終予選

●ムーティ指揮ウィーン・フィルがアンコールで「皇帝円舞曲」を演奏していた頃、ベトナムではワールドカップのアジア最終予選、ベトナム対ニッポンがキックオフ。時差はきつくなかったがどのテレビ局もアウェイの放映権を獲得しなかったため、DAZNの配信でしか見ることができない。Jリーグに続き代表戦までテレビからネットに移行しつつあるが、この状態が続くとどうなるのだろう。サッカー人気が衰えるのか、あるいは単にスポーツ中継のプラットフォームが変化するだけの話なのか?
ベトナム●で、出遅れたニッポンはアウェイといえどもベトナム戦は必勝。ベトナム代表は史上初の最終予選に臨んでおり、代表を率いるパク・ハンソ監督は国民的な英雄なのだとか。サッカー熱も高まっているようで、かつての日本を思い起こす。この日の試合に向けてもしっかり準備を整えてきておりコンディションではニッポンを上回る。布陣は5バックで守備ブロックを固めてくるのかと思いきや、ラインを高めに敷き、前線からプレスもかけてくる。フィジカルよりも技術とスピードに持ち味のあるチームで、本来ならポゼッション志向は高いのだろう。逆に言うとカウンターアタックの切れ味、競り合いの強度はないので、むしろニッポンにとっては戦いやすいタイプでもある。要注意はUAE人主審、そしてでこぼこした芝。もっともこの芝にはニッポン以上にベトナムも苦しんだのでは。
●ニッポンはオランダ発のチャーター便が給油地ロシアでトラブルに遭い、一部主力選手が機内で長時間足止めを食らうトラブルに見舞われた。全員がそろったのは試合前日。この場合の考え方としては、直前合流組を控えにして先に集まった選手でチームを組むか、あるいは前の試合のやり方をそのまま踏襲するか。森保監督の決断は後者で、ほぼ前のオーストラリア戦と同じメンバー、同じ交代選手を起用して戦った。ただし右サイドバックは酒井ではなく山根。中盤は遠藤がアンカーというよりは、むしろ田中碧、遠藤、守田が3枚並ぶ形。左右は非対称で、守田はかなり左サイドに張り出すポジションをとり、その分、南野は中に入る。右サイドは伊東が張り出してこのエリアを完全に支配、スピード無双で攻守にわたって大活躍。
●前半17分、大迫のポストプレイから南野が抜け出し、中央に入れたクロスを伊東が蹴り込んで先制ゴール。前半40分にはニッポンのカウンターで、自陣から伊東が左サイドを爆走してゴールに叩き込むというスーパー・ゴールが炸裂したのだが、なんと、VARで取消し。シュートの瞬間にオフサイドポジションに選手がいたというのだが、これをオフサイドというのは直感的にはナンセンス。VARで5分以上判定に時間をかけていた点にも強烈な違和感が残る。
●結局、その後ゴールは両者に生まれず、ベトナム 0対1 ニッポンという結果に。後半、交代選手を次々と投入し、ほとんどの時間帯で主導権を握っていた割には決定機の乏しい試合になってしまった。1点差だとなにが起きるかわからない。もっともベトナムも好機の芽をたくさんもらっていたにもかかわらず、本当のチャンスは一度もなし。これはニッポンのディフェンスがよかったというべきか。ベトナムとニッポンはアジア・カップ2019UAE大会の準々決勝でも対戦しており、当時も同じスコアでニッポンが勝った。その試合でもグエン・コン・フオンが鋭い攻撃を見せており、ベトナムはもう大量点を獲れる相手ではなくなっていた。若くて勢いがある。
●ニッポンのメンバーを。GK:権田-DF:山根、吉田、冨安、長友(→中山雄太)-MF:遠藤航、田中碧(→柴崎)、守田(→原口)-伊東、南野(→浅野)-FW:大迫(→古橋)。サウジ戦での出来事があっても柴崎を切り捨てずに挽回のチャンスを与えるあたりが森保監督。惜しいミドルシュートあり。途中出場の浅野はボールが足につかない様子だが、これは芝の影響か。山根は見事に抜擢にこたえた。実は右サイドバックには冨安という選択肢もある。冨安はアーセナルで不動の右サイドバック。欧州ビッグクラブで唯一、試合に出ているのが冨安。ただ、センターバックも層が薄いので、冨安をサイドで使うのはもったいないか。問題の左サイドバックは中山雄太が長友の後継者になるべく、スタンバイ中といった様子。

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