November 25, 2021

紅葉の季節、波と凪

紅葉
●この時期の楽しみといえば紅葉。ウイルス禍以来、公園の散策は最大の娯楽になっている……と思ったが、別に以前からそうだったのかも。今はネットで紅葉名所の色づき具合を確認して出かけることができるのが便利。ビバ、予定調和の紅葉体験。
●で、もう過ぎ去ったことのように錯覚してしまいそうになるが、これからどちらの道に進むのだろうか……。あ、新型コロナウイルスの話なのだが。昨日、東京都の新規陽性者数はわずか5名。一時期は5千人を突破していた。多くの専門家が1月に新たな波がやってくる可能性を指摘しているので、どうしても「今のうちに出かけておこう」という気持ちが働きがち。先日、仕事である地方都市に日帰りしてきたのだが、ウイルス禍以来久しく目にしたことがなかった観光客の大集団を見かけて、すさまじい熱気と迫力を感じた。わかる。今なら行ける! もっとも、全員がマスク姿なのは変わらず。
●一方、ヨーロッパではふたたび感染拡大が進み、オーストリアでロックダウンが実施されるなど、状況は厳しい。ワクチンが普及してもやはりロックダウンが避けられないとは。1月以降、日本もヨーロッパの後を追うことになるのだろうか? ふと、ヨーロッパで日本以上にワクチン接種率が高い国はどうなっているのか気になって、毎度おなじみのourworldindata.orgを見てみた。ワクチン接種完了率は、オーストリアが65%。ドイツが68%、フランスが69%。大差はない。アメリカは58%と低いまま。日本は77%と高いがさすがにもう勢いは鈍っている。スペインはなんと80%! これにはびっくり。スペインの状況はどうなっているんだろう。
●そこで各国の人口あたり新規感染者数の7日移動平均を見てみると、オーストリアは突出していて、100万人あたり1500人を突破。ドイツは急上昇中で600人超で、イギリスと同程度。一方、スペインは120人ほど。これだけ見るとワクチン接種完了率と強い相関関係がありそうにも思えるが、しかしスペインの接種率が高いといってもオーストリアとは15%の差で、それがそこまで違いを生み出すものかどうか。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。実際には多数の要因が複合的に絡み合って結果に表れているのだろうから、単一の要因で物事を説明しようとする考え方は危ういか。
●ワクチン接種が進めば感染者数が増えても、重症化に至る人は少ないからあまり気にしなくてもいいのではないか、という淡い期待を抱いていたこともあったが、同じデータで犠牲者数を見るとそんな悠長なことを言ってられないことがわかる。ロックダウンももっともな話ではある。

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