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December 16, 2021

山田和樹指揮NHK交響楽団のシュトラウス&ベートーヴェン

●15日はサントリーホールで山田和樹指揮NHK交響楽団。プログラムはマーラーの「花の章」、リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」(佐々木典子)、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」なのだが、本来この日のBプロはディマ・スロボデニュークが指揮する公演で、ハイドンの「哲学者」とシュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語り」が並ぶ「哲学プロ」だった。で、山田和樹は別の日のAプロで「4つの最後の歌」やシェーンベルクの「浄められた夜」を指揮するというのが当初予定。ところがオミクロン株騒動があって、スロボデニュークは来日できず。山田和樹はたぶん隔離期間の関係だと思うけどAプロは無理だけどBプロならできるということでBプロに移動。Aプロはガエタノ・デスピノーサが代役を務めることになった。その際、もともとのシェーンベルクの「浄められた夜」はデスピノーサが引き継ぐことに。で、「4つの最後の歌」はソリストともどもBプロに移動して山田和樹が指揮するということになって、メインプロになぜかベートーヴェンの「英雄」が組まれることになった。えっ、話が煩雑すぎてわけがわからない? うん、これは文字だけじゃわからない。わかんなくていいっす。
●マーラー「花の章」は以前、山田和樹指揮日フィルでも同じように演奏会の冒頭に置かれていた記憶。「巨人」のなかで聴くよりは素直に楽しめる。「4つの最後の歌」は声とオーケストラのバランスも絶妙。温かくノーブルな歌唱と繊細で柔らかな響きに包まれる。この流れでいくと、後半は「英雄」より「英雄の生涯」だろうって気もするが、堂々たる本格派のベートーヴェンに。もともとしなやかな音楽の流れを作り出す人だとは思うけど、随所のスフォルツァンドの強調など、ダイナミクスのおもしろさもあった。欲を言えば、どこかスムーズすぎて、この曲が持つ「軋み」というか、破天荒な巨大さみたいなものがもっと欲しかった感も残る。終演後の客席の反応は平常運転で、カーテンコールを早めに切り上げて解散。
●分散退場のアナウンス前から続々と人が退場し始めたのだが、本来の目的である「分散の実現」という点ではある意味正しい。単純に分散を最大化しようと思ったら、曲が終わった瞬間から少しずつ退場していけばいい。「みんなそろって分散退場」というのは矛盾してるわけで。でもなんかモヤッとする人も多いと思う。「ルールに従ってバラバラに行動する」というのはなかなか難問だ。「周りの人と十分に距離をとって退場してください」くらいのアナウンスで済ませられたらいいんだけど、まだダメなんすかね。