December 17, 2021

鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンの「第九」

●16日は東京オペラシティで鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのベートーヴェン「第九」。昨年も同じようにここでBCJの「第九」を聴いたことを思い出し、去りゆく一年に思いを馳せる……一年経って、ワクチン接種もいったんは済んだのに、オミクロン株の出現でまだウイルス禍に翻弄されているとは! 物事の変化は速いような遅いような。
●ともあれ、年中行事のようにこうしてBCJの「第九」を聴けるというのはぜいたくな体験。管楽器の混濁しないカラフルな響き、澄明な弦楽器、弾力に富むリズム。新鮮な体験として「第九」を味わう。コントラファゴットが巨大な筒で、視覚的なインパクトはバズーカ砲並み。肩にかけてドカン!となにかを発射できそう。
●合唱団は冒頭からステージ上に配置されていたが、独唱者は椅子が置かれるのみ。しかし、第4楽章が始まってもだれも入場しない。猛然と歌う低弦のレチタティーヴォが熱い。で、独唱者不在のまま音楽が進み、いよいよという場面になって、舞台上手から大西宇宙が歌いながら登場するという超ドラマティックな展開! 深くて強い声が朗々とホール内に響き渡って、一瞬にして空気が変わった。もはやここは劇場。この登場パターンはかつてブリュッヘン&新日フィルの「第九」でもあったけど、歌詞の内容にも即していてすごく効果的。ベートーヴェンの心の声、参上!って気がする。独唱陣は中江早希、藤木大地、宮里直樹、大西宇宙。アルトにカウンターテナーが起用される「第九」2021。
●「第九」一曲のみの凝縮された公演。実は今年はもう一回、BCJの「第九」を聴くチャンスがあって、12月21日に珍しく東京芸術劇場で「バッハ・コレギウム・ジャパン クリスマス・スペシャル・コンサート」が開催される。こちらは鈴木優人指揮! オルガン曲も入ってクリスマスと「第九」の合体仕様。

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