December 27, 2021

尾高忠明指揮NHK交響楽団「第九」

●25日は東京芸術劇場でN響の「第九」。本来であれば次期首席指揮者ファビオ・ルイージが登場するはずだったが、オミクロン株の流行による入国制限の影響で、N響正指揮者である尾高忠明に変更。独唱陣も大きく変わり、森麻季、加納悦子、櫻田亮、三原剛という陣容に。今年の合唱は東京オペラシンガーズ。「第九」一曲のみのプログラム。
●20世紀の演奏伝統の延長上にある端正で自然体のベートーヴェン。どこにも無理がない、ありのままの「第九」がそこに。合唱団は50名前後の規模だったと思うが、これくらいでも今の感覚だと大きいなあと感じてしまう。しかも人数以上にパワフルな歌唱で、久々にこれだけの声量の豊かな合唱を聴いたという実感。合唱団とオーケストラの間には透明アクリル板あり。独唱陣はソプラノとテノールがそろって透明度の高い軽やかな声。爽快。
●年内の演奏会はこれがラストの予定。今年は大河ドラマが「青天を衝け」で、尾高さんのひいおじいさんである渋沢栄一が主役だったし、「尾高イヤー」として締めくくられた感。毎週、尾高指揮N響でテーマ曲を聴いていたわけだし。
●ところで「青天を衝け」を見てたら、幕末から明治、大正へと時代が移っているのに、主人公の風貌がずっと20代の若々しさを保っていて、ほとんど老けない。このお肌ピチピチ感はなにかの伏線なのかと思い、はっと気づいた。これは主人公の主観時間が何十年も経っているだけで、実時間は進んでいないという演出上の表現なのでは。まだ録画を見てないけど最終回で大どんでん返しがあると見た。画面隅に血洗島ですやすや布団で眠る栄一青年の姿が出てくる予感がする。ネタバレ無用。

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