January 12, 2022

ガエタノ・デスピノーサ指揮読響のラヴェル「ボレロ」他

●11日はサントリーホールでガエタノ・デスピノーサ指揮読響。プログラムはヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」序曲、ボワエルデューのハープ協奏曲(吉野直子)、ラヴェルの組曲「クープランの墓」と「ボレロ」。新春らしく華のあるプログラム。先日、新年最初の演奏会を「人間の声」&「アルルの女」の自死ダブルビルで迎えてしまったわけだが(しかも満喫)、ようやくおせち料理にありつけた感。お雑煮最高。
●入国制限による代役で登場したデスピノーサ(昨年からずっと日本にいる)は読響初登場。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスターから転向したイタリアの指揮者。最初の「こうもり」序曲から語り口豊かで楽しませてくれる。ボワエルデューの協奏曲では吉野直子の流麗優美なソロを心地よく味わう。アンコールにグリンカの「ノクターン」。おもしろかったのは後半で、「クープランの墓」も「ボレロ」もかなりアクが強い。彫りが深くてねっとりした濃厚ラヴェル。繊細さや色彩感よりもドラマを前面に押し出してくる。「ボレロ」は作品全体を貫く大きなクレッシェンドを強調した解釈で、弱奏のスネアドラムから最後のクライマックスまで直線的に高揚する。「ボレロ」の最後で加速して煽ってくるとは。冬の夜の寒さを吹き飛ばす熱血ラヴェルだった。
●デスピノーサ、アクセルロッド、スダーンらは日本に何か月滞在しているのだろう。各地のオーケストラで代役として大車輪の活躍。

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