April 14, 2022

普通郵便とロメオとジュリエットと感染症

手紙
●昨年10月から普通郵便の配達に一日余計にかかるようになってしまった。しかも土曜日の配達もなくなった。都内から都内に送る場合でも、木曜日に投函すると到着が月曜になる(以前は金曜日に着いた)。もはや普通郵便なんて特殊な用途にしか使わないから遅くてもいいと言われればその通りなのだが、実は今でも紙の書類が求められる場面はままあって、この遅さを理解しておかないとトラブルになりかねない。
●ところで手紙が間に合わなくて起きた史上もっとも有名なトラブルといえば、「ロメオとジュリエット」で修道士ロレンスが出した手紙だろう。終幕でロレンスはジュリエットのために仮死の薬を用いた計略を立てる。ジュリエットは死んだように見えるが42時間経ったら元気に目覚める、だからロメオよ、心配するな。そんな手紙を書いたものの予定通りに届かなかったため、ロメオは絶望して毒を煽って絶命し、目覚めたジュリエットは短剣で自らを刺して後を追う。ああ、手紙が届かなかったばかりに……。では、なぜ届かったのか。
●それは感染症による隔離が原因だ。手紙を託された修道士は道中で病人を見舞ったところ、町の検疫官に伝染病に感染していることを疑われ隔離されてしまう。ペストが流行していた当時、このような隔離はごく一般的なものだったという。

 それが、旅の道連れにと、
 同門の托鉢僧を捜しに出まして、
 この町の病人を見舞っていたのを
 見つけた折も折、町の検疫官たちに、
 我々二人がいた家は、伝染病に冒されている
 と嫌疑をかけられ、戸を封鎖され、
 閉じ込められてしまい、
 マントヴァへ急ぐことができなかったのです。
(シェイクスピア/河合祥一郎訳/新訳 ロミオとジュリエット/角川文庫)

●隔離のために足止めされるのは今日的でもあるが、そこでふと思うのは、音楽作品でそんな描写があったかなということ。グノーのオペラ「ロメオとジュリエット」ではどうなっていたかなと思って確かめてみたが、感染症の話は出てこない。ほかの作品ではどうなんでしょ。

このブログ記事について

ショップ