April 15, 2022

東京・春・音楽祭 ミュージアム・コンサート 東博でバッハ 三浦謙司

東博 平成館
●14日はふたたび東京・春・音楽祭のミュージアム・コンサートへ。今回は名物シリーズ「東博でバッハ」で三浦謙司のオール・バッハ・プログラム。2019年ロン=ティボ=クレスパン国際コンクール優勝の気鋭。会場は東京国立博物館平成館ラウンジ。
●プログラムは前半が協奏曲ニ短調BWV974(原曲はマルチェッロのオーボエ協奏曲)、パルティータ第1番、イタリア協奏曲、後半がフランス組曲第5番、幻想曲とフーガ イ短調BWV904、バッハ~ブゾーニ編の「シャコンヌ」。モダンピアノによるオール・バッハを聴く機会は貴重。他人の曲をバッハが編曲した作品から始まって、バッハの作品を他人が編曲した作品で終わるという趣向。最初の2曲は折り目正しく、ずっとこの調子でいくのかと思ったら、「イタリア協奏曲」からぐっと自在で表情豊かな演奏に。プログラム全体でおおむね後に行くほど、様式美とエモーションのバランスが後者に傾いていくといった流れになっていたと思う。愉悦にあふれたフランス組曲第5番もすばらしかったが、白眉は幻想曲とフーガ イ短調。集中度が高く、フーガは荘厳。会場の格調高い雰囲気にもぴったり。次がブゾーニ編の「シャコンヌ」なので、切れ目としてはここで拍手が出てもよかったのだろうが、フーガの雰囲気のままで「シャコンヌ」につなげていいんじゃないかという客席と奏者間の無言の合意が形成されて(たぶん)、そのまま拍手を入れずに「シャコンヌ」へ。モダンピアノの表現力を最大限に発揮した熱い魂のブゾーニ。最後に奏者から一言あいさつがあり、「シャコンヌ」の後に弾くにふさわしい曲はないということでアンコールはなし。納得。
●「東博でバッハ」は公演によって平成館ラウンジと法隆寺宝物館エントランスホールのどちらかが使われている。法隆寺宝物館エントランスはモダンな雰囲気だが、平成館ラウンジは建築物の重厚さが独特の空気を醸し出すのが魅力。音響的にはかなり癖があって、天井はおそらく音を吸って返りが少ないのに対して、石材の床は音を容赦なく反射する感じ。コンサートホールとはまったく条件が違うが、これも音楽祭ならではの体験だろう。この音楽祭の目玉はワーグナーシリーズのような大規模公演だと思うけど、足を運んでよりお祭り感を味わえるのはこういったホール以外の場所での公演。
●帰り際に東博総合文化展の招待券が配られた。先日の科博に続いてお得。

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