May 18, 2022

映画「シン・ウルトラマン」(樋口真嗣監督、庵野秀明脚本)

●これは余計な情報を目にする前に早く観たほうがいい案件では!? と、気がついて慌てて映画館で「シン・ウルトラマン」(樋口真嗣監督、庵野秀明脚本)を観てきた。自分はリアルタイムでは「帰りマン」世代なのだが、今どきの子供たちがポケモン図鑑を隅から隅まで読むのと同じように怪獣図鑑を眺め、日々スペシウム光線のポーズをとってきた人間なので、もちろん、熱い気持ちで鑑賞した。さすが「シン・ウルトラマン」。ぐっと来る瞬間はなんども訪れる。基本的に「ゴジラ」が「シン・ゴジラ」に再構築されたのと同じ方法論でウルトラマンが再構築されている。
●荒唐無稽な特撮怪獣シリーズをどう現代に甦らせるか。リアリズムを持ち込めばたちまち陳腐化するわけで、現代の技術を駆使しつつも、あくまで怪獣映画に徹している。「シン・ゴジラ」同様、政治家や官僚の姿も描かれ、一応、現代社会とつながる視点はあるわけだけど、あまりメッセージ性が前面に出ていないのは吉。これはウルトラマン。カラータイマーがなかったり、「シュワッチ!」を叫ばなかったりするというのは些細なことで、むしろ原典尊重への強いこだわりを感じさせる作りになっている。というか、原典が足枷になっているような気もしたほど。最後はあれで正しいのかもしれないけど、正直なところ、困惑した。そこに至る物語の肝心なところが描かれていなかったのでは、と。あと、「昭和のオッサン臭さ」が漂う場面は引っかかった。
●冒頭、次々と怪獣が現れ、それを自衛隊が処置してきたことが示される。あ、これって「エヴァンゲリオン」の使徒襲来じゃないの。と一瞬思ったけど、順番が逆で、「エヴァ」がウルトラマンの血脈を受け継いでいるのだった。
●いちばんすばらしいなと思ったのは、ウルトラマンの造形の美しさ。見惚れる。フォルム自体も美しいし、所作も美しい。スペシウム光線を発する姿勢や、重力感ゼロの飛翔ポーズも、最高度に洗練されている。

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