June 9, 2022

葵トリオ ピアノ三重奏の世界 ~ サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

●8日はサントリーホールのブルーローズ(小ホール)で、サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2022「葵トリオ ピアノ三重奏の世界」。小川響子のヴァイオリン、伊東裕のチェロ、秋元孝介のピアノからなる葵トリオが、7年プロジェクトの第2回として登場。毎回、ベートーヴェンのトリオやメモリアル・イヤーの作曲家、葵トリオの「今」を聴く曲目を合わせたプログラムを組むという趣向で、今回はベートーヴェンのピアノ三重奏曲第2番ト長調作品1-2、細川俊夫のトリオ、フランクの協奏的三重奏曲第1番嬰ヘ短調作品1-1という選曲。有名曲は一曲もないけど、チケットは完売。
●後半のフランクが圧巻。協奏的三重奏曲第1番、ライブでは初めて聴いた曲だけど規格外の傑作で、フランク生誕200年にふさわしい強烈なインパクトがあった。三人のパッションからこんなにも巨大な威容が生み出されるのかという驚き。この曲、冒頭からして「ブルックナーかよ?」と思うような始まりで、これはオルガニスト的な発想ということなんだろうけど、重厚で執拗な楽想が展開される。これが「作品1-1」とは。フランクといえば晩成型の作曲のように思っていたが、名声が晩年に追いついてきただけであって、実のところ最初の一歩から際立った個性と輝きを持っていたのかも。
●フランクって粘着質なところが快感に直結していると思うんだけど、後の交響曲やヴァイオリン・ソナタにあるのが洗練された粘着質だとすれば、協奏的三重奏曲第1番にあるのは荒ぶる原型の粘着質。極北のダサカッコよさ。打ちのめされるような感動を味わったあと、アンコールにベートーヴェンのベートーヴェンのピアノ三重奏曲第3番より第3楽章メヌエット。
CMGオンラインで有料リピート配信あり。

このブログ記事について

ひとつ前の記事は「カーチュン・ウォン指揮日本フィルの伊福部&マーラー[配信]」です。

次の記事は「二酸化炭素濃度計 MATECH AirChecker」です。

最新のコンテンツはインデックスページへ。過去に書かれた記事はアーカイブのページへ。

ショップ