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August 19, 2022

エミリア・ホーヴィング指揮読響のラウタヴァーラ、シベリウス他

●18日はサントリーホールでエミリア・ホーヴィング指揮読響。エミリア・ホーヴィングは94年フィンランド生まれの新星で今回が日本デビュー。ということはまだ28歳。フィンランドからまた新たな才能が登場。ぱっと見ても名前が覚えられないが、心の中で名前を何度も唱えて記憶に刻んでおかねば……。現在、フランス放送フィルのアシスタント・コンダクター。もう女性指揮者であることに特別な目新しさは感じない。
●プログラムはラウタヴァーラの「至福の島」(日本初演)、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番(三浦文彰)、シベリウスの交響曲第5番。ラウタヴァーラ作品は海を連想させる波打つような曲想が印象的。管弦楽の波、そして「至福の島」という曲名は、ラフマニノフの「死の島」のライトサイド・バージョンを思わせる。1995年作曲。シベリウスの後継者といった作風。プロコフィエフでは三浦文彰が鮮やかなソロを披露。尖鋭な作品を悠々と弾く。アンコールはチェロ首席といっしょにシベリウスの「水滴」。ふたりでピッツィカートで弾く少年期の小品。
●やはり聴きものは後半、シベリウスの交響曲第5番。ホーヴィングは明快でダイナミックな指揮ぶりで、幻想性、抒情性、パッションなどさまざまな要素が絡みあった作品の魅力をストレートに伝えてくれた。ポジティブなエネルギーにあふれているのが吉。オーケストラは透明度の高い澄明なサウンド。終演後、拍手が止まず、指揮者のソロカーテンコールに。客席全体に初登場の若い指揮者をもり立てようとする温かい雰囲気があったと感じる。