September 2, 2022

東京文化会館 新作オペラ「note to a friend」デヴィッド・ラング、笈田ヨシ オンライン記者会見

「note to a friend」デヴィッド・ラング、笈田ヨシ オンライン記者会見
●23年2月4日と5日に東京文化会館小ホールで上演される新作オペラ「note to a friend」のオンライン記者会見が8月中旬に開かれた。作曲および台本のデヴィッド・ラング(写真:左)がニューヨークから、演出の笈田ヨシ(右)がパリから参加するということで、会見スタート時刻が21時。すごい、パリとニューヨークと東京がZoomで結ばれるとは! 時代は変わる……。
●このオペラは東京文化会館とジャパン・ソサエティー(ニューヨーク)の共同制作によるもので、来年1月にジャパン・ソサエティーで世界初演した後、東京文化会館で日本初演される。題材となっているのは芥川龍之介作品で、主に「或旧友へ送る手記」および「点鬼簿」。日本を題材にした作品を日本人ではないアーティストに委嘱しようというジャパン・ソサエティーの意図のもと、ラングに新作オペラを打診したところ、ラング側から芥川の名が挙がった。
●ラング「私は読書家であり、日本文学をたくさん読んでいる。15歳で映画『羅生門』を観て以来、芥川作品のファンになった。特に『或旧友へ送る手記』には強い衝撃を受けた。この作品で芥川は人生について知的な考察を述べている。私はこの登場人物を使いたいと思った。これは芥川の伝記ではないが、彼がなぜ自殺したのかを説明している。芥川にはとても印象深いエンディングを持った作品がある。『藪の中』で死人がよみがえって自分のことに話す部分があるが(つまり映画『羅生門』で使われているスタイル)、そこから芥川がよみがえって自分の死について語るという物語の展開を着想した。日本文化における自殺がどういうものか、自分がわかっているとは思っていないが、芥川の『或旧友へ送る手記』と『点鬼簿』、それに『藪の中』の最後の部分を使って、私が考える死との対話を描きたいと思った」
●笈田「デヴィッドのような作曲家と仕事ができることをうれしく思っている。台本もすばらしく、演出できるのが楽しみ。オペラの台本はメロドラマだったり単純だったりして知的な興味を持てるものが少ないが、この台本には深い味がある。すばらしい音楽と台本を通して、どうやって人生を語ることができるか、人間を語ることができるのか。人間の美しさ、悲しさ、おもしろさ、人生のいろんなことを表現するのが自分の仕事だと思っている。日本人にだけに理解できるオペラにはしたくない。人間ならどうやって生きるのか、人間であることのドラマを音楽を通じて表現したい」
●出演はヴォーカルがセオ・ブレックマン、アクターがサイラス・モシュレフィ、ヴァイオリンが成田達輝、関朋岳、ヴィオラが田原綾子、チェロが上村文乃。ワタシはよく知らないのだが、セオ・ブレックマンはオペラ歌手ではなく、ジャズ・ヴォーカリストなのだそう。デヴィッド・ラング(デイヴィッド・ラング)の作品はラ・フォル・ジュルネで何度かとりあげられていたと思う。

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