October 18, 2022

クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団の「春の祭典」他

●15日は東京芸術劇場でクラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団。フィンランド生まれの新星をようやく聴けた。昨年、25歳の若さでパリ管弦楽団の音楽監督に就任したというのも驚きだが、すでに2027年シーズンからロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任すると発表されていて「そんなのあり?」。こういう契約って、どれくらい未来まで先取り可能なんすかね。
●曲目はドビュッシーの交響詩「海」、ラヴェルの「ボレロ」、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」。3曲ぜんぶがごちそうプログラム。芸劇は珍しく反響板を下ろさず。前半はパリ管弦楽団の名人芸を味わったという感。特に「ボレロ」での管楽器奏者たちの超絶腕自慢大会は圧巻。この「オレがオレが」感は日頃なかなか聴けないもの。クライマックスは輝かしいスペクタクル。味が濃い。後半の「春の祭典」はマケラ印がよりはっきりと表れていたのでは。しばしばアクセントを強調してリズムのおもしろさを明確にする彫りの深い音楽。シャープかつパワフル。木管楽器群のベルアップが炸裂。長身痩躯を折り曲げながら、オーケストラをドライブする。
●マケラの短い英語メッセージがあった後、アンコール。てっきりフランス音楽が来ると思っていたら、ムソルグスキーのオペラ「ホヴァンシチナ」より前奏曲「モスクワ川の夜明け」。これは時節柄を反映しての選曲なんだろうか。拍手が続いて、マケラのソロ・カーテンコールあり。
●こういった演奏会では珍しく、ポスター等で「照明演出」がしっかりクレジットされていて、正直なところ警戒感を抱いていたのだが(完成された芸術品になにを足すのだろうか、と)、実際には「春の祭典」で曲調に応じてときどき色が変化するといったマイルドなもので安堵。