November 30, 2022

樫本大進、赤坂智子、ユリアン・シュテッケル、藤田真央の室内楽

●今朝からワールドカップはグループリーグの第3戦に突入。この第3戦が大会でいちばんおもしろいと思うんすよね。でも一日に4試合ずつやるので、とても全部は見られない。見たい、でも見られない。仕事もある、コンサートもある。今は夏じゃない。だからオイルマネーに屈してワールドカップを秋開催に決めたのはだれなんだ!(←毎日言ってる)。
●というわけで、28日はサントリーホールで「スーパーソリスト達による秋の特別コンサートVol.1 室内楽の夕べ」。なんと、樫本大進のヴァイオリン、赤坂智子のヴィオラ、ユリアン・シュテッケルのチェロ、藤田真央のピアノというゴージャスなメンバーによる室内楽。全席完売、客席は女性が大半。これは真央効果と大進効果の相乗作用なのか? プログラムはモーツァルトのピアノ四重奏曲第1番ト短調、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番ニ短調、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番ト短調。オール短調、オール「第1番」プロ。前半のモーツァルトとメンデルスゾーンは親密な音の対話で、お互いのバランスが保たれた調和のとれた響き。特にモーツァルトでの藤田真央のピアノが柔らかくしなやか。遊び心もある。後半のブラームスは一転してシンフォニックな音楽に。シェーンベルクがこの曲をオーケストレーションしたくなるのも納得の迫力。やや長めのプログラムだったのでアンコールはなし。藤田真央と樫本大進が並んだときに漂う息子とお父さん感が麗しい。
●それで、ワールドカップの話題も少しフォローしておくと、ブラジル対スイス戦があった。スイスは従来よりあまりブラジルを苦にしておらず、この日も拮抗した試合内容になった。ブラジルらしい華やかな攻撃がほとんど見られず、引分けかと思いきや、後半38分にカゼミーロがゴールを決めて、これが決勝点。結果的に負けたとはいえ、スイスは相手を過度にリスペクトしていない。「ランクで決まるなら試合はいらない」は岡田武史元監督の名言だが、日本のいるグループEだって、次戦でニッポンとコスタリカが勝利すればそろって勝ち抜けることになり、スペインとドイツは敗退が決まるのだ。今大会、第2戦が終わった段階で「2強2弱」に分かれたグループはなく、どこが勝ち抜けるかわからない混戦になっている。
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●宣伝を。UCカードのゴールド会員向け会員誌「てんとう虫」12月号の特集「今を聴くクラシック」に寄稿。注目の日本人若手奏者たちの紹介記事と反田恭平さんのインタビューを担当。同誌は同じ内容でセゾンカードのゴールド会員向け会員誌「express」としても発行されているので、そちらでも読むことができる。