December 12, 2022

パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルのベートーヴェン

パーヴォ・ヤルヴィ DKB●ワールドカップは準々決勝の後に二日間のお休み。遡って、9日は東京オペラシティでパーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル。二日続けて通う。初日はオール・ハイドンだったが、二日目はオール・ベートーヴェン。しょうがないけど、こちらのほうが客入りがかなりいい。このコンビのベートーヴェンは伝家の宝刀。前半に「コリオラン」序曲、交響曲第8番、後半に交響曲第3番 「英雄」。一曲目、「コリオラン」の最初の一音からノン・ヴィブラートの弦の澄明さにグッと来る。ティンパニとトランペットがピリオド楽器の折衷仕様。対向配置。小編成だが、迫力に不足なし。切れ味鋭くエネルギッシュ。細部の完成度は前夜の驚異的なハイドンには及ばないものの、推進力にあふれた筋肉質のパーヴォのスタイルで、ユーモアの要素も忘れず自在のベートーヴェン。
●交響曲第8番で第2楽章からアタッカで第3楽章を続けたのがおもしろかった。パーヴォの意図はわからないけど、この曲って、第2楽章も第3楽章もスケルツォ的だなと思うので、スケルツォ~トリオじゃないけど、ひとまとまりにできそう。「英雄」でもやっぱり第2楽章と第3楽章をつなげていた。第3楽章から第4楽章にアタッカで入るケースはよくあるけど、これは珍しい。
●アンコールにシベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォ(ティンパニ入り)。前夜以上に盛んな拍手で、パーヴォのソロ・カーテンコールに。この日も空席のオーケストラを称えるポーズで喝采に応えた。