December 15, 2022

フランスvsモロッコ スーパースターの大会 ワールドカップ2022 準決勝

フランス●もうひとつの準決勝はフランス対モロッコ。前回王者のフランスはグループリーグから圧倒的な強さを見せながら順当に勝ち上がってきた。モロッコはアフリカ勢として初のベスト4進出。というよりはアラブ勢として、というべきか。場内は完全にモロッコ・ホームで、フランスがボールを持つとブーイングが出るほど。
●フランスはラビオとウパメカノのふたりが不在、モロッコはアマラーとアティヤットアラーがベンチスタート。モロッコはセンターバックを3枚にして5バックでブロックを敷く布陣。ニッポンがドイツやスペイン相手に成功を収めた試合を思い出させるが、開始早々の前半5分にいきなり失点してしまう。ゴール前の混戦からエムバペのシュートがこぼれたところに、テオ・エルナンデスが浮き球を鮮やかなボレーで決めて、フランスが先制。
●早い時間帯の失点はモロッコにとって大誤算だったと思うが、その後、センターバックのサイスが負傷交代して4バックに変更。本来の4バックのほうが中盤の厚みも増し、モロッコは攻撃が機能し始める。これを見ると、最初からいつも通り4バックにしていればと思わなくもないが、一方でフランスが先制していたのでモロッコにボールを持たせたとも言える。フランスになんどか決定機が訪れたが、モロッコは前半を1失点で耐えた。モロッコは前半45分、エルヤミクによるアクロバティックなオーバーヘッドシュートが最大の見せ場。枠をとらえていたが、フランスのキーパー、ロリスがファインセーブ。
●後半はモロッコがボールを持ち、フランスがカウンターを狙う展開に。フランスはジルーを下げてテュラムを投入。あのフランス大会でフランスが初優勝したときのリリアン・テュラムの息子だ。父は名ディフェンダーだったが、その父のアドバイスでフォワードになったのだとか。やはりアタッカーのほうが脚光を浴びるからなのか。後半34分、左サイドのテュラムからパスを受けたエムバペがゴール前の密集地帯をすり抜けるようなドリブルで突破、シュートが相手ディフェンダーに当たって右に流れたところに、途中交代で入ったばかりのコロ・ムアニが楽々と押し込んで追加点。コロ・ムアニはファーストタッチがゴール。これで勝負は決まり。2対0でフランスが完勝。あと一歩で1950年以来のヨーロッパ不在の決勝戦が実現するところだったが、フランスが強すぎた。
●決勝はアルゼンチン対フランス。波乱の多い大会と言われたが、最後はみんなが見たいカードが実現したのでは。モロッコが決勝まで勝ち進めばカタール大会が「アラブの大会」として記憶される可能性もあったわけだが、どうなんだろう、ヨーロッパの人々にはほっとした気持ちもあるんじゃないだろうか。
●今大会、異例の秋開催のため、各国とも準備期間がほとんど(あるいはまったく)なく、ぶっつけ本番ワールドカップのようになった。だから波乱が起きるのではないかと予想していたが、準備期間がないからこそ(そしてシーズン中でコンディションが万全だったからこそ)、アルゼンチンのメッシとフランスのエムバペという突出した個の能力で試合が決まった感が強い。決勝はメッシとエムバペのスーパープレイの応酬になればおもしろいが、だいたいは堅い試合になるんすよね。

フランス 2-0 モロッコ
娯楽度 ★★
伝説度 ★