May 26, 2023

ドイツ・グラモフォンの「ステージプラス」日本版を体験する

ドイツ・グラモフォン 「ステージプラス」
●先月に記者会見の模様をお届けした、ドイツ・グラモフォン(DG)の定額制映像&音楽配信サービス「ステージプラス」(DG Stage+)日本版をようやく実際に使ってみた。映像配信サービスとしてはベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールと同様で、ライブ配信とアーカイブ配信があって、いつでも好きなだけ観ることができる。映像や音声のクォリティも十分。ドイツ・グラモフォンなので、過去にDVDでリリースされていたような映像もたくさんある。加えて、CD音源もある。音源は普通にSpotify等のストリーミングでも聴けるので、わざわざドイツ・グラモフォンのものだけこのサービスで聴こうとは思わないが、ドルビーアトモス対応なので、空間オーディオを求める人には重要かも?
●で、メインとなる映像コンテンツだが、さすがに豪華なラインナップ。最新アーカイブ映像にはネルソンス指揮ウィーン・フィル、ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、ネゼ=セガン指揮ヨーロッパ室内管弦楽団、ユジャ・ワン、キーシン、トリフォノフ、リシエツキ、ブルース・リウ、藤田真央、チョ・ソンジンらの名前が並ぶ。まだ少し見ただけだけど、ネゼ=セガン指揮ヨーロッパ室内管弦楽団のベートーヴェン交響曲全集がすごそう。めちゃくちゃうまい。あとミルガ・グラジニーテ=ティーラ指揮の映像がいくつかあったので、こんな指揮ぶりの人なのかと認識。バイロイト音楽祭2022のワーグナー「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」(バレンティン・シュワルツ演出)があって、サムネイルを見ただけで奇天烈な演出であることが伝わってくる。字幕はどうなっているのかと思ったら、ちゃんと日本語があった。
●ベルリン・フィルのDCHとの大きな違いは、先々までどんなコンテンツがあるのか見通せないということか。あと、今はスタートしたばかりだから、アーカイブ映像の数はそんなには多くないので、人によっては見たいものをさっさと見尽くしてしまうかもしれない。これはDCHが始まったときと同じで、最初は選択肢が少なく感じたものだが、時とともにアーカイブの厚みが増して、サービスの価値が高まったのを思い出す。ともあれ、今は音楽だけじゃなく多種多様なサブスクが林立している時代なので、ユーザーにはカジュアルに契約したり解約したりして複数のサービス間を渡り歩く人も多いだろう。もうサッカーは完全にそうなっている。
-------
●今週末のテレビ朝日「題名のない音楽会」は「突拍子もない作曲家リゲティの音楽会」がテーマ。昨年は生誕100年でクセナキスの回が実現したけど、今年はリゲティが生誕100年。ハンガリアン・ロック、100台メトロノーム(抜粋)他。