June 15, 2023

シルク・ドゥ・ソレイユの「アレグリア」

シルク・ドゥ・ソレイユの「アレグリア」
●近年、オペラの演出家のプロフィールでたびたび「シルク・ドゥ・ソレイユ」の文字を目にするが、実はどんなものなのか、ぜんぜん知らなかった、昨日までは。14日、お台場ビッグトップでシルク・ドゥ・ソレイユの「アレグリア」。シルク・ドゥ・ソレイユ、名前を日本語にすれば「太陽のサーカス」。本拠地はカナダのモントリオールということでフランス語の名前が付いている模様。サーカスといっても、自分が子どもの頃に見たサーカスとはぜんぜん違っている。動物は出てこない。ぜんぶ人間が演じる。なので、アクロバットが中心的な演目になるのだが、衣装や舞台装置、音楽、世界観などが非常に洗練されており、総合的なエンタテインメントに進化している。サーカスという言葉の響きが持つ猥雑さはなくて、とことん美しくて、スマートなんすよね。
●で、「アレグリア」というのが演目名。過去の来日公演(って言うのかな?)でも同演目がなんどか上演されているけど、衣装が一新されるなど、バージョンアップされているっぽい。物語性があるということに驚き。王を失った王国で旧世代と新世代の間に勢力争いが起き、道化が王位を継承したかのようにふるまうが、やがて若い力が調和をもたらす……といった世界観。そのなかでファイヤージャグリングとかトランポリンとか空中ブランコの妙技がくりひろげられる。
●会場は約2800席ほど。席数の割には舞台が近く感じる。2時間15分のショーで、途中に30分の休憩が入る。平日でも11時30分と15時30分の一日2公演が開かれているのだが、平日昼だからといって年配層が多いとかそんなことは一切なく、老若男女関係なく来場していて大盛況。会場内はかなり冷房が効いているので(出演者が汗でスリップするのを防ぐため)、上着は必須。
●細かいけど感心したポイントを。最初に撮影禁止や喫煙禁止などの注意事項がアナウンスされるのだが、そこも演出が入っていてショーの一部になっている(フィナーレのみ撮影可)。あと、途中で紙吹雪が大量に舞う場面があるのだが、その後、舞台上に落ちた紙吹雪を掃除する行為がやはりショーのなかの一章としてコミカルに演出されている。つまり、普通だったらお客にとって楽しい時間ではない注意のアナウンスや舞台転換までも、楽しめるものにショーアップしようという発想があって、このあたりのホスピタリティはさすがだと思った。