July 9, 2023

ジョゼ・ソアーレス指揮新日本フィルのラテン名曲プログラム

ジョゼ・ソアーレス指揮新日本フィル

●7日昼はすみだトリフォニーホールでジョゼ・ソアーレス指揮新日本フィル。平日昼間の公演だが客席は盛況。指揮のジョゼ・ソアーレスはブラジル出身で、2021年の東京国際音楽コンクール指揮部門第1位。コンクールで演奏していたのが新日本フィルというご縁があって、定期演奏会に招かれた模様。そういえばそのときのコンクールを、配信で少し見ていたのを思い出した。
●プログラムは南米&ラテン色を押し出して、ヴィラ・ロボスの「ブラジル風バッハ」第4番よりⅠ前奏曲、Ⅳ踊り、ロドリーゴのアランフェス協奏曲(村治佳織)、ヒナステラのバレエ音楽「エスタンシア」組曲、ビゼーの「アルルの女」組曲第1番、同組曲第2番より間奏曲、ファランドール。これはよくできた選曲。人が演奏会に足を運ぶ主な理由としては「なじみのある曲を聴きたい」と「あまり聴いたことのない曲を聴きたい」があるわけだが、前者の人はロドリーゴとビゼーにひかれるし、後者の人はヴィラ・ロボスとヒナステラにひかれる。ひとつのコンサートにA面とB面があるみたい。
●ソアーレスが作り出すのは熱のある筆圧の強い音楽。ヴィラ・ロボスでの弦楽合奏の輝かしさが印象的。アランフェスでもオーケストラが熱を帯びて、村治佳織の練達のソロを支える。ソリスト・アンコールはビージーズ「愛はきらめきの中に」。自分のぜんぜん知らない分野の曲だけど、たいへんすばらしい。えっ、「サタデー・ナイト・フィーバー」? 見てないなー。ヒナステラの「エスタンシア」は楽しい曲。おしまいの「マランボ」、この曲にしては生まじめというか剛直な演奏で、もう少しはじける感じを期待していたが、客席はわいた。ビゼー「アルルの女」はシャープで引きしまったサウンドで、見事な高揚感。アンコールに同組曲第2番のメヌエット。清澄なフルートとハープ。新日フィルはオーケストラの当日メンバー表をプログラムノートにはさんでくれるので、こういう曲でだれがソロを演奏しているのか、明示されるのが吉。
●明日、月曜日の更新をお休みするので、代わりに日曜日に更新。