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October 30, 2023

セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のプロコフィエフ、ハチャトゥリアン、ストラヴィンスキー

●27日はサントリーホールでセバスティアン・ヴァイグレ指揮読響。前半がプロコフィエフの交響的協奏曲(チェロ:宮田大)、後半がハチャトゥリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」から「ゴパック」「剣の舞」「アイシャの踊り」「バラの乙女の踊り」「子守歌」「レズギンカ」、ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1919年版)というプログラム。前半はシリアス、後半はスペクタクルといった趣。
●プロコフィエフの交響的協奏曲では宮田大のソロが聴きもの。渋い曲だと思っていたけど、これほど雄弁なソロを聴けるとは。鮮やかな技巧、豊麗な音色、陰影の深さ、オーケストラに埋没しない力強さに圧倒される。この曲、キメラ的な怪作というか、かなり風変わりな構成だと思うんだけど、第2楽章のほうが終楽章よりも「終わった」感がある。第2楽章にはどこに連れて行かれるかわからないところがあって、ずっと迷路をさまよっていて、最後にようやく外に脱出したかのように終わる。終楽章は一転して通俗的な主題があつかわれるのだが、終結部はどこか唐突で、本当はもっと先があったんじゃないかなとうっすら感じてしまう。ソリスト・アンコールは無伴奏でラフマニノフのヴォカリーズ。
●後半はぐっとリラックスして楽しめる曲で、「ガイーヌ」は爽快。「剣の舞」や「レズギンカ」など、ついつい土臭い爆演を期待しがちな曲だけど、ヴァイグレはストレートなアプローチで、力みがない。結果としてハチャトゥリアンのオーケストレーションの華麗さが際立っていたのでは。「火の鳥」も同様にていねいでバランスのとれた音色で、端正かつカラフル。いつも思うんだけど、「火の鳥」1919年版ってバレエのエッセンスを凝縮した完璧な組曲ではあるんだけど、少し尺が短いのでもう一曲欲しくなる。