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November 8, 2023

ファビオ・ルイージ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のチャイコフスキー

ファビオ・ルイージ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
●7日はサントリーホールでファビオ・ルイージ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。プログラムはウェーバーの「オベロン」序曲、リストのピアノ協奏曲第2番(イェフィム・ブロンフマン)、チャイコフスキーの交響曲第5番。スーパー・オーケストラだからこそ聴きたくなる名曲プログラム。前半、「オベロン」序曲、ホルンのまろやかな音色が全体のなかでピカッと光っている。首席ホルンはケイティ・ウーリーという人。すごい名手。後半のチャイコフスキーではさらなる大活躍。リストの協奏曲、ブロンフマンとオーケストラが一体となった均整のとれた演奏。この協奏曲だけだと短すぎてせっかくのブロンフマンがもったいないが、ソリスト・アンコールにショパンのノクターン 変ニ長調op.27-2。巨躯からくりだされる繊細な弱音表現の芸術。
●後半のチャイコフスキー5番はさすがの名演に。コンセルトヘボウ管弦楽団の角の取れた柔らかく豊かな響きを堪能。管楽器のソロはことごとく耳のごちそうで、やはりホルンの音色が際立っていた。第2楽章は絶品。ルイージとこのオーケストラの相性はぴったり。無用な力みがなく、歌うようなチャイコフスキーで、この曲にこれほどの抒情性を感じたことはない。終楽章も白熱はしても、咆哮せず、コーダの「ドラえもん」は快速テンポでダサくならない。汗臭くなく、エレガンスの感じられるチャイコフスキー5番は発見だった。アンコールにチャイコフスキーのオペラ「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ。これも土臭くなくスマートで端麗。ルイージの美学とオーケストラのキャラクターが見事にかみ合った一夜。客席は熱のこもった喝采でわき、マエストロとコンサートマスターのソロ(じゃないデュオ?)カーテンコール。