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November 9, 2023

国立西洋美術館 「キュビスム展─美の革命」で見かけたギターとヴァイオリン

●上野の国立西洋美術館で「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展─美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」(10月3日~2024年1月28日)。ポンピドゥーセンターと国立西洋美術館の共同企画により、日本では50年ぶりとなる大キュビスム展が実現、初来日作品50点以上を含む約140点を展示。混雑しているかなと案じたが、開幕から一か月以上経っていることもあってか、平日はそこまででもなく許容範囲。ピカソとブラックを中心に見ごたえ大。

ピカソの「ギター奏者」
●これはピカソの「ギター奏者」(1910)。キュビズム時代のピカソとブラックの画風はよく似ていて、自分には区別がつかない。この絵のどこがギターでどこが奏者なのかというのはともかくとして、この展覧会ではギターとヴァイオリンがよく登場する。なぜかこの2種の楽器が好んで題材としてとりあげられる。

ブラックの「ヴァイオリンのある静物」
●こちらはブラックの「ヴァイオリンのある静物」(1911)。テーブルの上にヴァイオリンが置かれているんだろうなというのは、なんとなくわかる。スクロールっぽい形状が見える。

ブラックの「ギターを持つ女性」
●同じくブラックの「ギターを持つ女性」(1913)。これははっきりとギターと認識できる。中央の色の変わったところにサウンドホールがあって、弦が5本(のようだ)張ってある。ブリッジも明瞭に描かれている。

ピカソ 「ヴァイオリン」
●ふたたびピカソ。「ヴァイオリン」(1914)。楽器の各部が分解、再構成されているようではあるが、ヴァイオリンであることはわかる。さっきから年代順に並べているのだが、最初の「ギター奏者」がいちばんキューブ化が徹底されていて、楽器の形状を留めていない。

フアン・グリス「ヴァイオリンとグラス」
●もっぱらピカソとブラックが好んでヴァイオリンとギターをとりあげているのかといえばそうでもない。これはフアン・グリスの「ヴァイオリンとグラス」(1913)。分解されてはいるが、スクロールやボディ、f字孔、弦などが認識できる。

フアン・グリス「ギター」
●フアン・グリスの「ギター」(1913)。これはだれがどう見てもギター。ギターとヴァイオリン、発音原理も違うし、使われるジャンルも違うので、楽器としてはぜんぜん別物だけど、視覚的には似ている。平行に並ぶ弦が生み出す直線的なリズムと丸みを帯びたボディの対比がモチーフとして好ましいということなんだろうか。