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March 4, 2024

森山開次の「春の祭典 2024」

森山開次「春の祭典 2024」
●2日は渋谷区文化総合センター大和田さくらホールで森山開次の「春の祭典 2024」。森山開次のダンスと實川風と三浦謙司の2台ピアノによるストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」。森山開次の演出・振付・出演による「春の祭典」は2018年に初演されており、今回ふたたび上演されることになった。
●前後半に分かれた構成で、前半は實川風と三浦謙司の2名がそれぞれソロで小曲を演奏。バッハ~バウアーの「主よ人の望みの喜びよ」や平均律クラヴィーア曲集第1巻の前奏曲とフーガ ハ長調、ジャン・イヴ・ダニエル・ルシュールの「天国にて」(以上實川)や、セルゲイ・ボルトキエヴィチの「エレジー」、前奏曲変ニ長調、ラフマニノフの前奏曲ロ短調(以上三浦)など。全体としては祈りや哀悼の音楽が中心の構成。
●後半がストラヴィンスキーの「春の祭典」。踊るのは森山開次ひとり。ステージ上には2台のピアノが置かれており、ダンサーのためのスペースは決して広くはない。最初はピアノより手前のコンパクトなエリアのみを使ったダンスだったが、やがてピアノの間やピアノの下の空間(!)、舞台奥に設置された一段高くなったエリアなども用いて、限られた空間をフル活用する。観る前は「春の祭典」全曲をひとりで踊るとなればある程度の単調さは免れないのではないかと案じたが、これは杞憂で、身体表現のバリエーションがすさまじい。しかも「春の祭典」なのだ。激しい動きが連続することは避けられない。静かな部分が一定程度続くのは第2部の序盤くらいで、ダンサーが息を整える場所が少ないだろうと思ったが、驚異的な強靭さで激烈な変拍子の連続をものともしない。自在の表現を実現するには並外れた心肺機能が必要なのだと知る。實川風と三浦謙司のピアノはキレもあり重量感もあって、極限的なダンスと並走するにふさわしい。
●約700席規模のホールで、チケットは完売。實川風と三浦謙司のデュオだけでも十分に魅力的だが、お客さんの過半は森山開次目当てだったのだろう。ふだんのクラシックの公演とはちがった雰囲気のお客さんが多かった。なんというかな、モードな感じがあるというか。クラシックのお客さんはやっぱりクラシカルな感じだし。

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