●9日はサントリーホールへ。昨晩に続いてのジョナサン・ノット指揮スイス・ロマンド管弦楽団。この日はソリストにHIMARIが登場するとあってか、全席完売。プログラムはジャレルの「ドビュッシーによる3つのエチュード」、シベリウスのヴァイオリン協奏曲(HIMARI)、ストラヴィンスキーのバレエ「春の祭典」。昨日書き忘れたけど、弦は対向配置。開演前の楽員入場はアメリカのオーケストラと同様、各自が自分のタイミングで入って音出しをする方式。
●一曲目、ジャレルの「ドビュッシーによる3つのエチュード」はたぶん初めて聴いたけど、ドビュッシーの12の練習曲から第9、10、12曲を抜粋して管弦楽用に編曲したという曲。完全にドビュッシー・スタイルのオーケストレーションで、本物?ってくらいのドビュッシー感。シベリウスのヴァイオリン協奏曲では、先日ベルリン・フィルへのデビューが話題を呼んだHIMARIが主役。14歳ということだが、遠目には年齢以上に年少に見える。みずみずしいソロ。オーケストラは彫りの深い音楽で応える。大喝采の後、ソリスト・アンコールでイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第6番。すっかり手の内に入った作品のようで、鮮烈。感嘆するとともに、ただただ健やかな成長を願うばかり。HIMARIのお母さん、吉田恭子も有名なヴァイオリニスト。昔、お母さんのCDについて原稿を書いた記憶がある……。
●後半、ストラヴィンスキー「春の祭典」は、前夜の「ペトルーシュカ」と同様、オーケストラの持ち味が出ていたと思う。カラフルで明るく、パステルカラーみたいな清爽さ。ノットが意匠を凝らした鮮度の高い「春の祭典」で、キレも十分、推進力と弾力性を感じる。終盤はスリリング。この日もノットの短いスピーチが入って、アンコールとしてラヴェルの「マ・メール・ロワ」終曲の「妖精の園」。このオーケストラにぴったりの選曲だろう。柔らかくて優しい。爽快な幕切れの後、拍手が続いたが、多くの楽員たちはそのままステージに残って記念撮影大会に。ノットも登場して喝采を浴び、流れで記念撮影の和に入った。わしゃわしゃとした祝祭感がなかなかよい。
●記念撮影の様子をメタ記念撮影する人たち……の様子を撮ったメタメタ記念撮影。
July 10, 2025