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July 15, 2025

三菱一号館美術館 「ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」

三菱一号館美術館
●三菱一号館美術館で開催中の「ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠」へ(~9/7)。オランジュリー美術館とオルセー美術館のコレクションからルノワールとセザンヌの代表作約50点が集められている。絵もさることながら、ここは建物も立派。

三菱一号館美術館 セザンヌ
●もっぱら関心のあるのはセザンヌのほう。上は「セザンヌ夫人の肖像」。人だかりができていた。顔色と背景が似たような色彩で、表情が読めない。顔の背景化。

三菱一号館美術館 セザンヌ
●こちらはセザンヌ「スープ鉢のある静物」。たくさんある静物画のひとつだが、特徴は背景に絵が飾られている点で、背景の壁の左側に描かれているのはピサロの「ジゾー通り、ガリアン神父の家」なのだとか。画中画、メタい。

三菱一号館美術館
●内部の階段から見上げた窓。こんな調子であちこち趣がある。すばらしい快適空間なのだが、ここは常設展がないので、足を運ぶ機会がなかなか巡ってこない。

三菱一号館美術館 セザンヌ
●セザンヌの「わらひもを巻いた壺、砂糖壺とりんご」。山ほどリンゴを描いたセザンヌ。リンゴって、比較的日持ちもするので絵の題材としてはいいのかもしれない。あるいはリンゴが大好きだったのかもしれない。で、見逃せないのは砂糖壺。つまり、リンゴを砂糖といっしょに食べたわけだ。19世紀のリンゴはまちがいなく現代の「ふじ」や「王林」ほど甘くはなかったはず。酸味が強かったのではないだろうか。

三菱一号館美術館 ルノワール
●ルノワールからも一点。「いちご」。この絵を選んだのは、おいしそうだったからなのだが、やはりここにも砂糖壺と思しきものがある。スプーンで砂糖をすくって、イチゴにまぶして食べていたのだろう。リンゴに比べれば、イチゴに砂糖をまぶすのは、想像がつく。日本にもイチゴに砂糖と牛乳をかける食べ方があった。かつてのイチゴは今の「あまおう」や「とちおとめ」よりもずっと小さく、甘さも控えめだったのだ。セザンヌとルノワールの絵画を眺めながら、果物の品種改良の技術に思いを馳せる……。