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September 19, 2025

イェフィム・ブロンフマン ピアノ・リサイタル

●16日は東京オペラシティでイェフィム・ブロンフマンのピアノ・リサイタル。コンチェルトは比較的聴く機会があったが、ブロンフマンのソロ・リサイタルは久々。プログラムは前半がシューマンのアラベスクとブラームスのピアノ・ソナタ第3番の師弟プロ、後半がドビュッシーの映像第2集、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番(戦争ソナタ)の20世紀前半の名曲セット。シューマンのアラベスクは弱音表現中心でしみじみとした味わい。豪腕ピアニストが出力10%で奏でるポエジーといった様子。ブラームスのソナタ第3番は若き日の野心作。全5楽章のほとんど交響曲並みの大作で、ブロンフマンが弾けばいっそうスケールが大きく感じられる。第2楽章のアンダンテ・エスプレッシーヴォにシューマンがこだまする。
●後半のドビュッシーは独特。重心低めで輪郭のくっきりしたタッチによる格調高いドビュッシー。プロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番は十八番だろう。この曲をこれほど軽々と弾くとは。終楽章の爆発力はすさまじかったが、パワー一辺倒ではなく、プロコフィエフの音楽が持つ複雑な性格をあぶりだす。第2楽章アンダンテ・カロローゾは、シューマン「リーダークライス」作品39の第9曲「悲しみ」がパラレルワールドに転生した音楽。この「カロローゾ」のニュアンスは「温かく」だろうか。
●大喝采の後、すぐにアンコールへ。チャイコフスキーの「四季」より「10月」、ラフマニノフの10の前奏曲作品23より第5曲ト短調、リストのパガニーニ大練習曲集第2曲「オクターブ」。鮮やかな技巧。会場が沸きあがった。

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