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September 24, 2025

ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団のハイドン、リゲティ、モーツァルト

ジョナサン・ノット 東京交響楽団
●20日は東京オペラシティでジョナサン・ノット指揮東京交響楽団。ラストシーズンを迎えたこのコンビだが、今回も古典とモダンを組合わせた「らしい」プログラム。ハイドンの交響曲第83番ト短調(めんどり)、リゲティのフルート、オーボエと管弦楽のための二重協奏曲(竹山愛、荒木良太)、リゲティのオペラ「ル・グラン・マカーブル」より「マカーブルの秘密」(森野美咲)、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。リゲティの2曲の間に休憩が入り、前後半ともにウィーン古典派とリゲティがセットになる形。
●ハイドンの「めんどり」(プログラム上ではニックネーム表記なし)はこの作曲家ならではのウィットに富み、抜群の楽しさ。弦楽器は小編成だが、キレよりはふんわり柔らか。第1楽章で、めんどり主題がオーボエで、やがてフルートで登場するわけだが、その流れでリゲティのフルート、オーボエのための二重協奏曲を聴けるのが吉。フルートの竹山愛、オーボエの荒木良太はともに東響首席。協奏曲と言ってもソリストの名技性に焦点を当てるのではなく、響きのおもしろが肝か。東響の首席オーボエ奏者は、以前は荒木奏美(現読響)と荒絵理子だったが、これで荒絵理子と荒木良太になって、謎の「荒」しばりが発生している。
●後半、リゲティ「マカーブルの秘密」ではソプラノの森野美咲がレトロフューチャー風味のコスプレ(?)で登場し、声の超絶技巧とコメディエンヌぶりを発揮して場内を大いに沸かせた。この怪作をオペラ本編から切り離して楽しめるのかといえば、問題なく楽しめるという現実がここに。コンサートマスターの「やってられないよ!」の発声は小川ニキティングレブ。ここまででも相当に楽しめたが、圧巻は最後の「ジュピター」。細部まで彫琢され、輝かしく生命力にあふれたモーツァルト。テンポ設定が巧み。要所で一瞬テンポを落としたり、キュッと加速したり。力感あふれる堂々たるモーツァルトで、終楽章のフーガはまれに見る壮麗さ。よく演奏される曲だが、めったに聴けない名演だったと思う。ノットのソロ・カーテンコールあり。