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September 26, 2025

ケント・ナガノ指揮読響のマーラー交響曲第7番「夜の歌」

ケント・ナガノ 読響
●25日はサントリーホールでケント・ナガノ指揮読響。プログラムはマーラーの交響曲第7番「夜の歌」。マーラーの交響曲のなかではいちばんの難物だと思うが、チケットは完売。ケント・ナガノと読響という新鮮なコンビ。読響は指揮者によってずいぶんカラーの変わるオーケストラだと日頃から感じているが、芳しくマイルドかつダークなサウンドによる独特のマーラーに。名匠が細部まで練り上げた結果、異形の作品がそのまま剥き出しになったという感。さまざまな要素が並列的に配置されたアンチドラマの交響曲。魂の叫びではなく、モダンな音響建築物としてのマーラーというか。終楽章は壮麗。観客席は大いにわきあがり、近年聴いた読響では最大級の盛り上がり。マエストロのソロカーテンコールに対しても、客席の熱を感じた。
●マーラーの交響曲第7番、セルフパロディ的な作品だと思っていたが、今になってみると生成AI味を感じなくもない。マーラーが第6番まで書いた時点で次作をAIに書かせたらこうなった、みたいな。第5番と第6番の要素に露骨に引っ張られるている感とか、とくに。あるいはこうも考える。マーラーは第4番からメタ交響曲を書き続けてきて、それぞれ表から見ればシリアスな交響曲、裏から見ればパロディ交響曲になっているんだけど、これだとみんな表の聴き方ばかりして裏面がまるで伝わらないから、第7番では業を煮やして、えいやっとあの乱痴気騒ぎみたいなフィナーレを書いて、この路線にけりをつけた、と。