●先月下旬くらいからSpotifyがようやくロスレス音質に対応している。といっても、勝手に音質がロスレスになってくれるわけではなく、自分で設定を変更する必要がある。以下、Windows用アプリでの話だが、アプリ右上にあるプロフィールアイコンから「設定」を選び、「音質」の項目を「ロスレス」に変更する。すると、次に再生する音源から、ロスレスで聴くことができる。ざっといろんなアルバムで試してみたところ、一部を除いてだいたいの音源はロスレスになっている模様。ロスレスを再生している場合は「ロスレス」の表示が出るのでわかりやすい。
●念のため記しておくと、ロスレスはCDと同じ音質。従来はなんらかのフォーマットで320kbps程度の不可逆圧縮による音源が使われていた。
●せっかくなので、派手な音源を選んでいろいろ聴き比べてみた。PCからUSB-DAC経由でヘッドフォンに出力して聴いたが、ロスレスはすばらしい音がする。でもまあ、320kbpsでもすばらしい音がしている。なんの問題もない。試しに思い切って96kbpsまで下げてみたが、これで音楽を楽しめないかと言われると「楽しめる」と答えると思う。音質の高低が音楽を聴く喜びをどれだけ左右するか、というのは簡単に答えられない問いだ。
●これは絶対にオーディオの世界ではない考え方だと思うが、エコロジー的な発想でいえば、音楽の楽しみが同等ならデータサイズは小さければ小さいほどよいとも言える。写真や動画を保存するときは、なるべく損失が気にならない範囲でファイルサイズを小さくしようと考えるわけで、無圧縮でなければいけないとはならない。
●話は変わるが、クラシックに関してはSpotifyの検索機能はまったく頼りにならない。その点、Apple Music Classicalはしっかりしている。Windows上からもWeb Playerで使うことができる。心情的にはアメリカの巨大IT企業であるAppleよりも、スウェーデンの音楽配信専門の企業であるSpotifyを応援したいのでSpotifyを使い続けているが、そろそろ考え直すべきなのだろうか。
●Naxos Music Groupが北京のクラシック音楽サービスプラットフォーム Kuke Music Holding Limited の傘下に入るというニュースがあった(Investing.com)。約1億635万ドル相当の取引。こういう話を聞くと、日本の音楽業界は小規模だなと感じずにはいられない。
October 3, 2025