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October 7, 2025

クリスティアン・アルミンク指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアとイーヴォ・ポゴレリッチ

クリスティアン・アルミンク シンフォニア・ヴァルソヴィア イーヴォ・ポゴレリッチ
●6日はすみだトリフォニーホールで、クリスティアン・アルミンク指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア。プログラムは前半がドヴォルザークの交響曲第8番、後半がイーヴォ・ポゴレリッチの独奏でショパンのピアノ協奏曲第2番。ふつうのピアニストなら前後半が逆だが、やはりここはポゴレリッチが主役。開演前、延々とスケールを弾き続けるピアノの音が聞こえてきて、一瞬、調律をしているのかと思ったが、ピアノ協奏曲は後半の曲目だ。ホールの中に入ってみたら、ステージ脇に置かれたピアノでニット帽のポゴレリッチが弾いていた。いつもの儀式だ。
●シンフォニア・ヴァルソヴィアといえば、ラ・フォル・ジュルネでたくさん聴いているオーケストラだけど、かなり特殊な条件下での公演になるわけで、こうして通常の来日公演として聴く機会はまれ。今まさにワルシャワでショパン・コンクールが開催中なんだけど、そんなタイミングでワルシャワからオーケストラがやってきて、ショパンのピアノ協奏曲第2番を演奏する。しかも独奏者は同コンクールで伝説を作ったポゴレリッチ。
●前半、ドヴォルザークの交響曲第8番はかなり大らかな演奏ではあったが、濃いめのローカル色が魅力。ひなびた味わいと豊かなパッションが聴きもの。休憩に入ると、こんどはステージ衣装に着替えたポゴレリッチがピアノで静かに和音を奏でている。いったん袖に引っ込んでから、後半に。ポゴレリッチによるショパンのピアノ協奏曲第2番を聴くのはこれが3回目だと思う。最初の機会は2010年のラ・フォル・ジュルネでの同じくシンフォニア・ヴァルソヴィアとの共演で、この日は超絶遅いテンポの演奏でショパンが40分以上にわたる大曲になり、おまけに係員の制止を聞かずに第2楽章をアンコールしたため、60分の予定の公演が90分になったと記憶している(→当時のLFJ公式ブログ。懐かしい)。それに比べれば、今回はノーマルなテンポ設定。とはいえ、自在の演奏であることは変わりない。強弱の幅が広く、ベースとなるタッチが強靭で、筆圧の強いショパンであると同時に、柔らかく軽やかなタッチも。ショパンの協奏曲でこんな荘厳さを感じさせる人はほかにいない。演奏後、ポゴレリッチはいつものように足でピアノ椅子を片付ける。アンコールはなしというメッセージでもあるのだろう。終演後のサイン会に長蛇の列ができていた。

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