●SOMPO美術館のモーリス・ユトリロ展へ。平日の午前に訪れたが、想像していたより人が多い。混雑というほどではないにせよ、意外と人気が高くてびっくり。ほぼ風景画のみでモチーフも限定的、そして似たような構図や同じ場所をなんどもくりかえして描く。多くの作品はどこか歪みとか軋みを感じさせる構図。「白の時代」の作品群がすごい迫力。一方、後年の明快な色彩を持つ作品群は肩の力が抜けている。アルコール依存症にずっと苦しんでいたというが、それがどう作品と関係しているのかはよくわからない。
●上は「ラパン・アジル」(1910)。モンマルトルのラパン・アジルはユトリロが足繁く通ったキャバレーなのだとか。ユトリロは絵葉書(!)をもとに、このモチーフをくりかえし書いた。以下、どれも同じ場所を描いている。
●それぞれのタイトルと制作年を書こうと思ってたけど、煩雑でよくわからなくなってしまった! おおむね、下のほうが新しい作品。
●ユトリロのお母さんも画家なんだけど、知ってた? 名前はシュザンヌ・ヴァラドン。クラシック音楽ファンにとっては、どこかで聞いたことのある名前かもしれない。えーと、だれだっけ……。そうだ、エリック・サティの恋人の名前だ! ふたりが交際している頃、ユトリロ少年は10歳くらい。サティの激しい恋は、一方的にふられる形で半年ほどで破局を迎えた。サティにとっては世紀の大失恋であり、恋多きヴァラドンにとってはかすり傷のようなものだったという話が泣ける。